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川崎重工業、2018年4~12月受注は799億円増収の1兆819億円、売上は22億円増収の1兆945億円

 川崎重工業が1月31日に発表した2019年3月期第3四半期(2018年4~12月)連結業績によると、受注高は前年同期比799億円増加の1兆819億円、売上高は前年同期比22億円増収の1兆945億円、営業利益は前年同期比77億円減益の368億円、経常利益は前年同期比201億円減益の198億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比31億円減益の113億円となった。

 4~12月期における連結受注高は、船舶海洋事業、エネルギー・環境プラント事業を中心に増加となった。連結売上高については、航空宇宙システム事業、車両事業などが減収となる一方で、精密機械・ロボット事業などが増収となったことにより、全体では前年同期並みとなった。

 利益面に関しては、営業利益は船舶海洋事業の改善はあったものの、車両事業、航空宇宙システム事業などが減益となったことにより、全体で減益となった。経常利益は営業利益の減益に加え、民間航空エンジンの運航上の問題に係る負担金などで、減益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、経常利益の減益により、減益となった。

 川崎重工2019年3月期第3四半期部門別データ

■部門別状況

<航空宇宙システム事業>

 航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在している。民間航空機については旅客数の増加に伴って機体・エンジンともに需要が増加している。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、民間航空エンジン分担製造品が増加したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことにより、前年同期に比べ453億円減少の2,805億円となった。

 連結売上高は、民間航空エンジン分担製造品が増加したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことにより、前年同期に比べ191億円減収の3,281億円となった。

 営業利益は、民間航空エンジン分担製造品の新規プログラム開発費償却負担増加などにより、前年同期に比べ53億円減益の212億円となった。

<エネルギー・環境プラント事業>

 エネルギー・環境プラント事業を取り巻く経営環境は、海外では資源開発や石油・天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続している。また環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要が増加している。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続している。一方で分散型電源は、潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっている。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、国内向けコンバインドサイクル発電プラントを受注したことなどにより、前年同期に比べ217億円増加の2,016億円となった。

 連結売上高は、海外向け化学プラントの工事量減少があったものの、エネルギー事業の工事量増加などにより、前年同期並みの1,688億円となった。

 営業利益は、エネルギー事業での採算改善などにより、前年同期に比べ19億円増益の45億円の営業利益となった。

<精密機械・ロボット事業>

 精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、建設機械市場向けでは中国での旺盛なショベル需要を中心に活況を呈しており、川崎重工業の顧客である建機メーカーは競って増産を進めている。ロボット市場向け需要は、日本・欧米においては堅調であるものの、半導体メーカーの設備投資抑制や、米中貿易戦争の影響による中国マーケット縮小傾向が鮮明になっている。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、各種ロボットが減少したものの、建設機械市場向け油圧機器が増加したことにより、前年同期に比べ126億円増加の1,573億円となった。

 連結売上高は、各種ロボットが減少したものの、建設機械市場向け油圧機器が増加したことにより、前年同期に比べ179億円増収の1,542億円となった。

 営業利益は、売上は増加したものの、販管費の増加などにより、前年同期並みの149億円となった。

<船舶海洋事業>

 船舶海洋事業を取り巻く経営環境は、新造船価の緩やかな回復基調や環境規制強化に伴うガス燃料推進船需要の顕在化がある一方で、LNG開発プロジェクトの遅れによるLNG運搬船需要の後ろ倒し、韓国政府による造船業支援政策の継続などにより、依然として競争が厳しい状況にある。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向け潜水艦を受注したことなどにより、前年同期に比べ677億円増加の652億円となった。

 売上高は、LNG運搬船とLPG運搬船の構成変動等により、前年同期に比べ69億円減収の630億円となった。

 営業損益は、減収があったものの、建造コストの改善などにより、前年同期に比べ71億円改善して28億円の営業利益となった。

 <車両事業>

 車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在している。海外については、米国では注力市場であるニューヨーク地区をはじめ新造・更新需要が増加しており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国での需要が増加している。

 このような経営環境の中で、連結受注高は、米国向け車両・改造工事を受注したことなどにより、前年同期並みの796億円となった。

 連結売上高は、米国やアジアなど海外向けが減少したことなどにより、前年同期に比べ137億円減収の860億円となった。

 営業損益は、米国向け案件における採算の悪化などにより、前年同期に比べ88億円悪化の64億円の営業損失となった。

<モーターサイクル&エンジン事業>

 モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、二輪車では主に欧州において市場の緩やかな成長が持続しており、新興国向けでも市場の底打ちの兆しが見えつつある。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移している。

 このような経営環境の中で、連結売上高は、先進国向け二輪車や四輪車の増加により、前年同期に比べ113億円増収の2,262億円となった。

 営業損益は、売上は増加したものの、販管費や販促費の一時的な増加や米国における鋼材等資材価格の上昇、新興国通貨安の影響などにより、前年同期に比べ32億円悪化の0億円の営業損失となった。

<その他事業>

 連結売上高は、前年同期に比べ91億円増収の678億円となった。営業利益は、前年同期並みの24億円の営業利益となった。

■2019年3月期売上見通しは公表値から250億円減の1兆6,200億円

 2019年3月期の連結業績については、連結売上高は航空宇宙システム事業、車両事業等で減少が見込まれることから、前回(10月30日)公表値から250億円減少の1兆6,200億円となる見通し。連結営業利益、連結経常利益ならびに親会社株主に帰属する当期純利益は前回公表値を据え置いた。

 また、連結受注高は、船舶海洋事業、精密機械・ロボット事業で減少が見込まれること等から前回公表値から200億円減少の1兆5,900億円、ROICは5.9%、ROEは6.5%となる見通し。

 なお、業績見通しにおける為替レートは、1ドル=110円、1ユーロ=125円を前提としている。

 川崎重工業の2019年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料

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