建設用クレーン業界は、日本では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要や復旧復興・防災減災・インフラ老朽化対策・民間建設投資等により稼働は堅調に推移した。ミニラフテレーンクレーンの排ガス規制駆け込み需要反動減により、需要は減少した。海外では、機種別・地域別にばらつきはあるものの、需要は回復基調となった。
■セグメント別の状況
<日本> 日本向けは、建設用クレーンが増加、車両搭載型クレーンが横ばい、高所作業車が減少し、売上は減少した。一方で、海外向けは増加し、その結果、売上高は1,016 億7千5百万円(前年同期比104.2%)、営業利益は105 億5千4百万円(前年同期比95.2%)となった。
<欧州> 建設用クレーン売上は欧州域内・欧州域外が共に増加し、売上高は324 億8百万円(前年同期比118.1%)、新モデル移行や品質対応に伴うコスト増により、営業損失は2億1千5百万円(前年同期は3億6千2百万円の営業利益)となった。
<米州> 北米での建設用クレーン需要が増加する中、ラフテレーンクレーンの需要回復が鮮明になり、売上高は254 億5千1百万円(前年同期比131.6%)、営業利益は6億6千万円(前年同期は1億6千1百万円の営業損失)となった。
<その他> 建設用クレーン需要が増加し、売上高は107 億3百万円(前年同期比130.4%)、営業利益は3億4千4百万円(前年同期は4千8百万円の営業損失)となった。
■主要品目別の状況
海外向け売上は、中東向け売上は大幅に減少したが、欧州・北米・オセアニア向け売上が増加し、500 億2千9百万円(前年同期比119.1%)となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は744 億3千3百万円(前年同期比114.4%)となった。
<車両搭載型クレーン> 日本向け売上は、安全装置法制化を控え、車両搭載型クレーンの受注が増加したものの、トラック需要が前年同期比横ばいであったため、134 億4千3百万円(前年同期比101.6%)となった。
海外向け売上は、東南アジア・中東向け販売体制を強化し、14 億6千8百万円(前年同期比120.3%)となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は149 億1千1百万円(前年同期比103.2%)となった。
<高所作業車> 通信業界の設備投資の拡大はあったものの、インフラ点検補修用途のニーズを背景にしたレンタル業界向け売上が一巡し、高所作業車の売上高は、126 億8百万円(前年同期比73.2%)となった。
<その他> 部品、修理、中古車等のその他の売上高は、233 億2千3百万円(前年同期比100.5%)となった。
■2019年3月期の見通し
2019年3月期連結業績は、売上高1,850億円(前期比6.5%増)、営業利益158億円(同1.9%増)、経常利益155億円(同4.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益105億円(同11.8%増)と前回(10月30日)予想を据え置いた。
なお、昨年1月19 日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告は、現在、米国環境保護庁との協議が進行中。協議の終了時期は見通せていないが、今後、開示が必要な事由が判明したら、適時適切に対応する。現在は、最も厳しい規制に適合するエンジンを搭載した建設用クレーンのみを販売しており、北米での販売に影響は出ていないとしている。