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IHI、航空機エンジン転用型ガスタービン・パッケージ「Fast Power 40」を新たに市場投入

・脱CO2・循環型社会に向けたエネルギーソリューションの取り組み加速

 ㈱IHIは1月30日、今後、持続可能な脱CO2・循環型社会に向けた取り組みの一環として、航空機エンジン転用型ガスタービン・パッケージ「Fast Power 40」を市場投入、新たなエネルギーソリューションモデルを提案していくと発表した。

 現在、日本だけでなく世界的に脱CO2・循環型社会の実現に向けた動きが加速している。中でも再生可能エネルギーの有効利用、天然資源・枯渇性資源の効率的な利用もしくは節減は大きなテーマである。ただ一方で、太陽光や風力などでエネルギーが得られないときの瞬時かつ地域的バックアップ体制の構築や、大規模ネットワークを補完する地域/ローカルエリアでのいわゆる地産地消の検討も必要となっている。IHIではこうした課題解決のため、従前より国内外に納入してきたガスタービンのパッケージを見直すことから着手した。

 主機には代表的な航空機エンジン転用型ガスタービンLM6000(※1)を起用。「軽量・コンパクト」であることに加え、「急速起動・負荷追従」が可能という特徴を最大限に生かした「Fast Power 40」を市場投入する。

 この「Fast Power 40」は、まず重量・外形寸法を従来比で約50%削減、設置場所の省スペース化や据付工事簡素化・工期短縮を同時に実現する。結果的に、設置後の移設も容易になることから、事業/操業計画に合わせ設備を移動させたり、電力需要が急増する国・地域へ迅速に導入したりすることが可能となる。特に、災害発生時など緊急に電力が必要となる場合にも、早期に設置、電力供給を実現できるようになる。

 また、航空機エンジン転用型であるため、起動開始から5分で定格出力に到達できるため、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの補完的・調整的な役割を担うことも可能。さらに、本機は天然ガス、軽油/灯油のいずれも燃焼可能なデュアル燃料対応機であり、燃料インフラの整備状況を選ばずに設置可能であるうえ、純水を使用せずに低NOxを実現できるDLE(Dry Low Emission)燃焼器と空気冷却方式を採用しているため、水資源が不十分な場所・地域でも環境への影響を最低限に抑えながら発電することができる。

 もとより、LM6000ガスタービンは世界最高クラスの発電効率を誇るエンジンであるため、枯渇性資源である天然ガスや油燃料も有効に利用しているといえ、CO2排出量も低レベルに抑えることが可能である。

 IHIグループでは、高い発電効率と優れた環境性能を誇るガスタービンあるいはガスエンジンを用いた発電設備・システムの技術を有しており、これをベースにIoTを活用した運用支援・予防保全サービスを含むライフサイクルビジネスを展開、環境負荷の低減と電力の安定供給の両立に貢献している。

 今回の「Fast Power 40」の市場投入を契機とし、今後、他機種においてもエネルギーマネジメント事業や資源ビジネスも組み合わせ、脱CO2・循環型社会に向けての取組みを加速していく。

(※1)「LM6000」:B747などの大型旅客機に搭載されているGE社のジェットエンジン「CF6-80C2」を発電用に転用したもので、現在実用化されている4万kW級ガスタービンの中で、世界最高レベルの性能を発揮する高効率ガスタービン。全世界で1、200台を超える販売・納入実績を持つ。IHIのLM6000(従来型)納入実績は、国内21基、海外61基(予備機含む)※2018年12月現在

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