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日立、風力発電機をコアプロダクトとしたソリューション事業を強化-独エネルコン社との提携拡大

 ㈱日立製作所は1月25日、再生可能エネルギー事業の強化を目的に、風力発電機の保守サービス事業や太陽光、蓄電池、EMS(*1)などを組み合わせた地域密着型・協創型のエネルギー事業など、風力発電機をコアプロダクトとしたソリューション事業を強化するとともに、ドイツの風力発電市場でトップ、欧州で2 位のシェア(*2)を誇る風力発電機の製造・販売会社であるENERCON GmbH(本社:ドイツ・ニーダーザクセン州/以下、エネルコン社)との提携を拡大すると発表した。

 風力発電は、世界の再生可能エネルギーの中で最大規模の発電量を占めており、今後、再生可能エネルギーの中で最も成長が期待されるエネルギーとされている。日本国内においても、2012 年に開始された固定価格買取制度(FIT)などの支援によって、風力発電の導入が加速すると予想されている。

 一方で風力発電市場は大きく変化しており、風況の良い平坦地や沿岸部から内陸部へ風力発電機の適地(*3)が限られていくことと同時に、ブレード径の拡大や単機出力の高い風車の設置が進んでいる。また、電力会社に加え、電力会社以外の民間企業、自治体などさまざまな企業・団体による風力発電事業への参画が進んでおり、ビジネスモデルも風力発電機の販売を中心とした売り切り型から、長期O&M(*4)をパッケージ化(*5)したサービス中心のモデルに転換しつつある。

 日立では、再生可能エネルギー事業のさらなる成長と収益性の向上をめざし、コアプロダクトとなる風力発電機と、これまで培ってきたIT とOT(*6)の強みを掛け合わせた競合企業が追随できないデジタルソリューションを組み合わせて新たな価値を提供することで、風力発電システム事業を強化していく。詳細は、次の通り。

■風車をコアプロダクトとしたソリューション事業の強化について

 日立は、顧客の風力発電システムを最適に制御・運用するOT とデジタル技術を融合したサービスプラットフォームを「Lumada」も活用して構築しており、保守サービスの高度化など、付加価値の高いサービス事業を推進している。

 まず、顧客が安定した経営を実現するため、予兆・予測診断システムを用いることによって風力発電システムの安定稼働の実現、保守コストの低減、設備パフォーマンスの最大化などに貢献するソリューション事業を強化する。具体的には、顧客の風力発電システムの稼働情報をリアルタイムに収集することにより、設備の故障を予測し、遠隔操作によるメンテナンス支援を行うことで、想定外の発電停止を未然に防ぎ、安定稼働に貢献する。また、遠隔監視・支援センタに集約された情報を解析・診断することで、迅速な保守員の派遣や的確な処置を実施し、多大な修理コストの低減や停止期間の短縮による売電量の増加を実現する。

 また、最先端のAI を活用した新たなソリューションの提供も加速する。現在、複数の風車が並んだ大規模ウインドファームなどを想定し、一列に並んだ風車に流入する風の影響をAI で分析することで、それぞれの風車を制御し、ウインドファーム全体での発電量を向上させる技術について、国立研究開発法人産業技術総合研究所や国立大学法人東京大学と共同実証試験を進めている。

 今後、新たな技術を活用して、年平均風速が比較的低い設置場所においても1 基あたりの発電量を増加させるといった、顧客の課題を解決するソリューションも提供していく。

 さらに、日本政府が再生可能エネルギーの「主力電源化」方針を打ち出しており、分散型電源の普及が予測されることから、風力発電の導入を最大化し得る地域密着型・協創型ソリューションの提供も強化する。日立は、既に自治体をはじめとする地域向けのコンパクトエネルギーネットワーク構築事業を推進しており、今後は、エネルコン社製の風力発電機を活用したエネルギーネットワークを提案するなど、さらなるソリューションの強化を図る。

■ドイツ・エネルコン社との提携拡大ならびにダウンウィンド型風力発電システムについて

 日立は、今回、エネルコン社との提携を拡大します。日立グループでは、これまで、日立が自社で開発・製造するダウンウィンド型風力発電システムを、グループ会社である㈱日立パワーソリューションズ(以下、日立パワー)がエネルコン社製の風力発電機を、それぞれソリューション事業として提供してきた。しかし、現在の体制では、開発費や人財リソースの分散、保守サービス部門や教育センタなどの重複をはじめ、事業を拡大する上での課題があった。

 エネルコン社は、1984年にドイツで設立された風力発電機の製造・販売を行う専業メーカーであり、ドイツ国内においては38.1%、欧州においては22.1%のシェア*2を誇るグローバルトップメーカーの一つ。創業以来、29,260基*7の納入実績を持ち、ブレード径44~160m、定格出力900kW~4.5MWのラインアップと、欧州向け7.5MWのプロトタイプモデル*8 95基の納入実績を有している。日立パワーは、1997年にエネルコン社と協業契約を締結し、以来、日本国内における販売と建設、保守のパートナーとして、エネルコン社製の風力発電機428基(628MW)を納入*9 している。

 今後は、日立グループ全体でエネルコン社製の風力発電機を取り扱うことになる。日立は、グローバルトップメーカーの一つであるエネルコン社の風力発電機と、日立のデジタル技術を組み合わせたソリューション事業を拡大することで、国内の風力発電機市場におけるトップシェアを維持していく。また、これまで分散していたリソースについては、今後、集約していくことで、風力発電システム事業をさらに強化していく。

 なお、国内外で参画してきた既に進行中の日立のダウンウィンド型風力発電システムを用いたプロジェクトについては、対応していく。また、既設のダウンウィンド型風力発電システムについても、これまでと同様に保守・サービスなどのソリューションを提供していく。

*1Energy Management System

*2出典:エネルコン社公表資料

*3風が強く、民家から離れている風力発電機の設置に適した場所

*4Operation & Maintenance

*5複数のサービスや商品を一つのソリューションにまとめ、販売すること

*6Operational Technology

*72019年1月現在

*8量産化を前提として、新技術・新機構の検証、試験、量産化前の問題点の洗い出しのために実証を行うモデル

*92019年1月現在(建設中を含む)

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