デンカ(本社:東京都中央区)は1月21日、窒化珪素セラミックス基板および球状アルミナのトップメーカーとして、自動車業界の電動化に伴う放熱材料のグローバルな需要拡大に迅速に対応すべく総額約80億円の設備投資を実施し、生産能力を増強すると発表した。これにより、グローバルに普及が進む電気自動車などの環境対応車を中心とした放熱材料市場を強力に牽引していく。
デンカは経営計画「Denka Value-Up」において、2022年度の営業利益に占めるスペシャリティー化率90%を目標に掲げている。今後も将来需要に対応した投資を迅速に行い、重点分野のひとつである「環境・エネルギー分野」のさらなる成長を目指す。
■セラミックス基板の生産能力増強
デンカはセラミックス基板メーカーとして約30年にわたり、原料粉(窒化珪素粉)からの一貫生産を行うとともに、窒化珪素基板から窒化アルミニウム基板、金属基板まで幅広い製品ラインアップを有することにより、顧客の多様なニーズに合致したソリューションを提供し高い評価を得ている。
特に近年では、環境対応車向けモーター駆動用パワーモジュールに使用される絶縁放熱部品として、放熱特性及び熱サイクル信頼性に優れたデンカの高機能窒化珪素セラミックス基板の需要が拡大している。
デンカは窒化珪素セラミックス基板の前工程に最先端の自動化プロセスを導入することにより、約3倍(2018年度比)の生産体制を構築しトップメーカーとしての地位をさらに強固にしていく。
<投資概要>
投資内容:建屋新設、焼成炉、加工機など
投資金額:約40億円
稼動時期:2020年下期
■球状アルミナの生産能力増強
デンカは球状シリカのトップメーカーとして長年培った独自の溶融技術を活かし、球状アルミナにおいても他社の追随を許さない地位を確立している。
今後、環境対応車の基幹部材であるリチウムイオンバッテリーや各種制御装置向けの熱対策ニーズの高まりおよび半導体に代表される各種デバイスの高機能化により、デンカの球状アルミナへの顧客からの需要は今後一層拡大する見通し。
デンカは放熱材料向け球状アルミナのトップメーカーとして、シンガポールの連結子会社において生産能力増強を図る。現在同製品は大牟田工場で製造しており、シンガポールに生産設備を増設することにより、生産拠点の分散によるBCPを確立するとともに生産能力を約5倍(2018年度比)に増強し、伸長著しいグローバル市場に応える圧倒的な供給体制を構築する。
<投資概要>
導入拠点:Denka Advantech Pte.Ltd.(シンガポール)
投資内容:球状アルミナ製造設備および倉庫など
投資金額:約40億円
稼動時期:2021年上期