kikai-news.net

富士フイルム、約25億円投じて米国拠点に治療用iPS細胞の生産施設を新設

・再生医療の早期産業化促進

 富士フイルムは12月20日、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーである米国子会社FUJIFILM Cellular Dynamics,Inc.(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス、以下 FCDI社)において、総額約25億円を投資して、cGMP(※1)に対応した、治療用iPS細胞の生産施設を新設すると発表した。これにより、日・米(※2)の計2拠点に治療に用いる再生医療製品の生産拠点を保有することになる。なお、新設する生産施設は、2019年度中に稼働させる計画。

 FCDI社は、新施設で生産したiPS細胞を使い、自社再生医療製品の開発を加速させていく。さらに、iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開することで、事業を拡大するとともに、再生医療の早期産業化に貢献していく。

 再生医療は、アンメットメディカルニーズへの新たな解決策として注目されている。その中でも分化万能性と無限増殖性を持つiPS細胞による治療は、多様な細胞を大量に作製することが可能なことから、実用化への期待が、高まっている。しかし、iPS細胞による治療を実現するためには、細胞の培養や分化誘導、品質管理に高度な技術とノウハウが必要になる。

 今回、FCDI社は、細胞の大量生産に適した大量培養設備と、少量多品種培養設備、細胞の品質を高精度に評価できるシステムなどを導入した生産施設を新設する。さらに、世界トップレベルのiPS細胞の初期化・分化誘導技術と、富士フイルムが持つ高度なエンジニアリング技術や画像解析技術も本施設に投入することで、高品質なiPS細胞の効率的な生産を確立していく。

 今後、FCDI社は、本施設で生産した高品質なiPS細胞を使い、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患、がんの領域の再生医療製品の開発を加速させるとともに、iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も広く展開し、iPS細胞を用いた治療の実現・普及に貢献していく。

 現在、FCDI社は、公的機関、大手製薬企業やアカデミアなどに、創薬や治療の研究用途のiPS細胞とiPS細胞由来分化細胞を提供するとともに、自社再生医療製品の開発を加速させている。今後も、これまで蓄積してきたiPS細胞関連の各種データや技術・ノウハウなどを活かして、世界中の企業、アカデミアなどと、iPS細胞を用いた再生医療の社会の早期実現に向けて取り組んでいく。

 富士フイルムは、FCDI社をはじめ、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、富士フイルム和光純薬、Irvine Scientific Sales Company,Inc.などの富士フイルムのグループ会社の技術・ノウハウを活用して、事業拡大を図るとともに、再生医療の早期産業化に貢献していく。

<新施設の概要>

場所:米国 ウィスコンシン州 マディソン市

生産品目:iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞

主要設備:cGMP対応の大量培養設備と少量培養設備や、細胞品質の評価システム、受託開発ラボなど

稼働時期:2019年度

※1 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。

※2 日本では株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、米国ではFCDI社が生産拠点を保有。

 ニュースリリース

 

 

モバイルバージョンを終了