三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は11月7日、インドの国営電力公社(National Thermal Power Corporation Limited:NTPC)が運営するモウダ第2(Mouda-II)およびリハンド第2・第3(Rihand-II・III)石炭火力発電所への排煙脱硫装置(Fuel Gas Desulfurization:FGD)の追加工事を受注したと発表した。新鋭FGDにより、SOx(硫黄酸化物)の排出を削減するのが狙いで、インドにおける大気汚染物質の浄化・削減に寄与するプロジェクト。MHPSのインド市場での石灰石膏法(注1)によるFGD受注は今回が初めてであり、モウダは2021年、リハンドは2022年の完成を予定している。
これらの工事は、いずれもMHPSのインド法人を通じて受注。同法人がEPC(設計・調達・建設)を手掛けるもの。モウダ第2発電所は66万kW設備2基、リハンド第2・第3発電所は50万kW設備4基で構成され、総出力は332万kW。FGDは各発電設備に追加設置し、MHPSはインド法人が手掛ける最新型スプレー式脱硫システム(注2)の設計を支援する。
インドにおける火力発電の燃料は石炭が大部分を占めており、既存石炭火力発電設備へのFGD追加設置は大きな流れとなりつつある。今回のプロジェクトはその先駆け的存在であり、MHPSグループが保有するFGDに対する高い評価と信頼性が今回の受注につながったといえる。
MHPSは今後も、大気汚染物質に対する排出規制強化の流れに伴い火力発電所を対象とする排ガス浄化技術・装置の需要拡大が見込める世界各地で、高性能かつ高効率な脱硫・脱硝システムや集じん機、これらを組み合わせた総合排煙処理システム(Air Quality Control System:AQCS)を積極的に提案し、地球環境の負荷低減に貢献していく。
(注1)石灰石とSOxを反応させることで、SOxを吸収するとともに、副生物として石膏を回収する脱硫方式。
(注2)吸収塔と呼ばれる排ガスを取り入れる装置の上部から、石灰水をスプレーで噴射することにより脱硫する。