・バングラデシュ国初の地下鉄建設 交通渋滞や大気汚染等の改善に寄与
日本工営は10月29日、バングラデシュのダッカ都市交通整備事業(1号線)(エンジニアリングサービス)に係る業務を、日本工営をはじめとする7社のJV(共同企業体)で受注し、10月10日に契約を調印したと発表した。
ダッカ都市交通整備事業(1号線)は、バングラデシュ国初の地下鉄案件として、総距離約52kmの都市鉄道(大量輸送交通システム: Mass Rapid Transit, MRT)をダッカ都市圏で建設するもので、今回日本工営が受注したのは同事業のうち先行開発区間である、カマラプール~ハズラット・シャージャラール国際空港 / プルバチャール間の19駅(暫定)、総距離約28kmの地下区間と高架区間を含むMRT建設を2026年の開業を目標に行うもの。
同事業においては信号・通信システム、ホームドア、自動改札機、変電所、架線などのエレメカシステムと車両に関する基本設計、路線と駅舎、車両基地の詳細設計、工事業者調達の支援、これらに係る技術転移などの各サービスを行う。また、将来的なメンテナンス・維持管理においてコスト面・作業面からの負担を少なくすべく詳細設計はBuilding Information Modeling (BIM) を活用し実施される予定。
日本工営は、同国初のMRTの導入となるダッカ都市交通整備事業(6号線)において基本設計・詳細設計・工事業者調達の支援・施工監理を、1号線に続く開発が見込まれるダッカMRT5号北線に関するフィージビリティ調査、さらには同MRT5号南線に関するプレフィージビリティ調査を実施中であり、今回のダッカ都市交通整備事業(1号線)(エンジニアリングサービス)は、これら事業に続く受注となる。
バングラデシュ国は約1億6,300万人の人口を抱え、これに伴う急激な交通需要増大、都市化の進行および既存鉄道老朽化により、ダッカ首都圏内のMRT網構築が必要とされており、同事業はダッカ首都圏の慢性的な交通渋滞や大気汚染等の解消に寄与することが期待されている。
バングラデシュにおいて日本工営は、MRT開発に係る業務に加えハズラット・シャージャラール国際空港拡張事業、新空港開発に係るフィージビリティ調査、全国送電網整備事業、ハオール地域(1)洪水対策・生計向上事業等に現在従事しており、今後とも総合技術コンサルタントとしての強みを活かし、幅広いコンサルティングサービスを提供していく。
(1)ハオール地域:バングラデシュの北東部のメグナ川上流域に広がる標高3~5mの低湿地帯のこと。雨季には盆地全体が水没する。この地域は乾季には稲作が主な収入源となっているものの、その収穫期がフラッシュ・フラッド(鉄砲水)発生期と重なるため、頻発する洪水被害によって住民は不安定な生計を強いられている。