日本貿易保険(NEXI)は10月22日、丸紅、双日、PT Pertamina (Persero)(以下、プルタミナ)他が出資するPT Jawa Satu Power及び㈱商船三井や前述3社他が出資するPT Jawa Satu Regas(以下、各プロジェクト会社)がインドネシアにおいてガス焚火力発電及び浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(以下、FSRU)を建設・運営するプロジェクトへの民間金融機関からの融資に対し、保険の引受を決定したと発表した。なお、引受案件は発電事業と液化天然ガス(以下、LNG)関連事業を一体として開発するいわゆるLNG to Power事業向けプロジェクトファイナンス案件としては、アジア初の成立案件であると同時に、NEXIとしても初の保険引受となる。
引受案件は、各プロジェクト会社が、インドネシア西ジャワ州において、2021年の運転開始を目指し発電容量1,760 MWのガス火力発電所及び貯蔵容量170,000m³のFSRUを建設し、25年間にわたりインドネシア国営電力公社PT PLN (Persero)に対して売電するもの。融資期間にわたり、丸紅が発電事業において、㈱商船三井がFSRU事業において、世界各地で培ったその豊富な事業経験を活かし各プロジェクト会社の操業を側面支援する。日本の高い技術力やノウハウ、資金力を活用する本件は、日本政府が推進する「質の高いインフラパートナーシップ」の趣旨に合致するもの。
日本政府は、アジアにおけるLNG利用拡大の支援を表明しており、日本企業がLNGの貯蔵・再ガス化に関与する同プロジェクトに対する融資保険の引受は、こうした日本政府の施策にも合致するもの。
また、引受案件は米国General Electric社製のガスタービン等を採用しており、日米政府が進める日米経済対話における日米インフラ共同案件としても位置付けられており、加えて「自由で開かれたインド太平洋戦略」に沿った案件でもある。
さらに、NEXIとプルタミナは、日本とインドネシア間の貿易や投資を促進するための協力体制強化を目的として、2015年12月に覚書(MOU)を締結しており1 、同案件は当該MOUの下での第1号案件になる。
今回の融資は、国際協力銀行(JBIC)、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、オーバーシー・チャイニーズ銀行、クレディ・アグリコル銀行東京支店、ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店他による協調融資であり、NEXIはこのうち民間金融機関の融資(総額403百万米ドル)に対し保険を引き受ける。
また、NEXIはスポンサーのうちの一社である双日が差し入れる、プラント建設資金に係る民間金融機関の各プロジェクト会社向け融資(エクイティ・ブリッジローン)に対する保証債務に対し、保険引受を予定している(プラント完工後は保証債務がスポンサー出資金に転換するため、残りの事業期間にわたり投資に係る保険を引受予定)。
インドネシアは、経済成長に伴い増加する電力需要に対応するため、35 GWの新規電源を開発する計画を推進している。同プロジェクトは最新鋭の高効率ガスタービンを導入するものであり、NEXIが本事業資金をファイナンス面より支援することにより、今後の日本企業の同国における事業拡大や環境負荷の低い高効率火力発電事業における国際競争力の維持・向上、ひいては同国の社会や経済の発展に寄与することが期待される。