これは、国際ロボット連盟(IFR:The International Federation of Robotics)が発行した「World Robotics – Service Robot Report 2018 」にまとめられている内容である。
■業務用サービスロボットの市場概況
2017年に69,000の物流システムが導入された。これは、2016年の導入後(26,300)からの増加となる。無人搬送車(AGV)が製造分野において6,700台、非製造分野において62,200台導入され、2016年の無人搬送車の販売台数と比較して162%増加した。物流システムの売上高は約24億ドルになると推定されており、これは2016年比138%の増加となる。
医療用ロボットもすでに定着しているサービスロボットであり、極めて大きな成長の可能性を秘めている。医療用ロボットの総売上高は19億米ドルに増加し、2017年の業務用サービスロボットの総売上高の29%を占めた。重要性の高い用途としては、ロボット支援手術/治療と、障害を持つ人々が必要な活動を行う手助けをする、または身体機能または認知機能の改善を目的とした治療を行うリハビリロボットが挙げられる。
搾乳ロボットを中心とするフィールドロボットの総販売台数は6,375台であり、総販売台数の6%となった。2017年の搾乳ロボットの合計販売台数は約5,400台であり、2016年の約5,300台と比べて2%増加した。酪農家の経済的問題により、2016に売上は減少した。2017年も市場では、いまだにこの影響が見られる。農業用ロボット(大規模農業における作物、野菜・果物の栽培、収穫)は市場に根付きつつある。2017年の販売台数は2016年の190台から増加し520台となった。
■個人/家庭用サービスロボットの市場概況
また、日々の生活において人間を支援するまたは楽しませる個人用サービスロボットの市場は急速に進展している。売上高は27%増加し、21億米ドルに達した。2017年に総販売台数は25%増加し、約850万台となった。掃除機がけや芝刈り、窓掃除などの家事向けのロボットが推定で約610万台販売され、2016年比31%増という目覚ましい増加を見せた。しかし、IFRの調査はこの分野を完全に網羅したものであるとは言えないため、実際の数字は上記よりも大幅に大きいものである可能性がある。売上高は16億米度だった。これは2016年比30%の増加となる。
長年レポートの作成に携わってきたIFRのサービスロボットグループのMartin Hagele(マーティン・ハジェル)は、以下のように述べている。「個人/家庭用用途において、ロボティクスは目覚ましい世界的成長を遂げてきた。床掃除ロボットやロボット芝刈機、そしてエデュテイメント向けロット(ソーシャルロボットという呼び名が普及し始めている)はますます私たちの生活の一部になってきている。今後の製品開発の方向性は、高齢者支援や家事の手伝い、エンターテイメントのための支援ロボットなど、より精巧な高性能・高付加価値家庭用ロボットの開発を目指すものになると考えられる。
■地域別サービスロボットメーカー
ヨーロッパのサービスロボットメーカーは世界市場において重要な役割を担っている。700社強の登録企業のうち約300社がヨーロッパ企業。メーカー数が250社の北米が2位、130社のアジアが3位となっている。また、サービスロボットサプライヤーの約30%が設立5年以内の新興企業であると考えられ、このことからも、ロボティクスのこの進歩が目覚ましい新興分野でのダイナミクスが見て取れる。