信越化学工業は10月11日、半導体の製造工程で使用されるフォトマスクの材料となるフォトマスクブランクス事業の拡大を目指し、約140億円の設備投資を実施すると発表した。この投資により、信越化学のフォトマスクブランクスの生産能力は現在の3割増となる。
今回の投資は、武生工場(福井県越前市)と直江津工場(新潟県上越市)のそれぞれ既存の工場で実施する。武生工場では新たな工場棟および先端ArF品を生産する設備を増強し、2021年4月までの工事完了を目指す。一方、直江津工場では事業の中核である汎用ArF品を生産する設備を増強し、工事は2019年末までの完了を目指す。
半導体デバイスの生産量の増加および微細化の進展により、フォトマスクブランクスの世界需要は汎用ArF品、先端ArF品ともに増加している。信越化学は、これらの需要を着実に取り込み、事業を更に大きく伸ばしていく。
信越化学では、従来より半導体の製造工程で用いられる材料の研究開発に注力してきた。フォトマスクブランクスはその一つで、2009年に事業化し、直江津工場で生産を開始。2016年には、武生工場で生産を開始し、顧客への供給責任を果たすとともに、2つの生産拠点を持つことでリスクの分散を図っている。
事業化を果たした後も信越化学は、顧客の要望を満たす最先端品の開発を進めてきた。その結果、高精度の微細加工が実現できるフォトマスクブランクスの開発に成功。信越化学のこの最先端のフォトマスクブランクスが、世界の標準品として認められている。
*フォトマスクブランクス:半導体の製造工程で使用されるフォトマスクの材料となる。フォトマスクは、シリコンウエハーの上に回路を描画する際に、回路の原版として使われる。