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伊藤忠、フィンランドでMetsa Groupと合弁でセルロースファイバーの工場

 伊藤忠商事は10月3日、フィンランドの森林業界大手のMetsa Group(メッツァ・グループ)と、同グループの新規事業投資を目的に設立された新会社Metsa Spring Oyとの共同出資によるセルロースファイバーのパイロットプラントを設立することについて合意したと発表した。総投資額は約4,000万ユーロ(約50億円)となる。テキスタイル・ファイバーのデモ・プラントは、フィンランドのÄänekoski(アネコスキ)にあるMetsa Groupのバイオプロダクツ・ミルの隣に設ける。年産能力約500トンのデモプラントの建設は、2018年10月に始まり、2019年後半に始動する予定。ゼネラルエンジニアリングパートナーはSweco(本社:米国ケンタッキー州フローレンス)。

 Metsa Groupは、フィンランドの森林業界におけるリーディングカンパニーとして、森林管理、原木供給、パルプ生産からティッシュペーパーや木材製品の販売まで幅広く事業を展開している。伊藤忠商事は、Metsa Groupの中核企業であり、年間約310万トンのパルプ生産能力を誇る世界最大級の針葉樹パルプメーカーであるMetsa Fibre Oyと1970年代に製紙用パルプの日本向け取引を開始して以来、長年にわたり良好な関係を築いており、2012年には同社の株式を取得し、伊藤忠商事の持分法適用会社とするなど関係を強化してきた。

 Metsa Groupは、森林を基盤とする持続可能な生物経済と循環型社会の実現を目指し、針葉樹パルプを活用した新規事業の創出に向けて研究開発を進めてきた。一方、伊藤忠商事は、ファッション業界における欧米ブランドを中心とするサステナブルの潮流を受け、環境配慮型素材の取り扱い拡大に向けて取り組んできた。こうした中、独自製法による革新的なセルロースファイバーの基礎的な研究開発に成功したMetsa Fibreから伊藤忠商事に協力要請があり、試験開発段階における品質確認が完了したことから、今回の合意に至った。

 セルロースファイバーの生産は、パイロットプラントをMetsa Fibreの工場内に併設し、パルプ製造からファイバー製造までの一貫生産体制を確立することで、安定的且つ低コストでの原材料調達を実現するほか、Metsa Groupが独自に開発した新特殊溶剤の使用により環境負荷が低減される。さらに、伊藤忠商事の有する繊維業界における川上から川下までのグローバルバリューチェーンの活用により、木材資源から繊維製品という広範囲にわたるトレーサビリティを実現するとともに、原材料から製品までの一貫したブランディングも可能となる。

 伊藤忠商事は、中期経営計画の基本方針である「商いの次世代化」の一環として、繊維事業における主導権を持った原料起点でのバリューチェーンの構築に取り組んでいる。今後も、伊藤忠商事ならではの総合力を発揮することで、原材料から製品までのバリューチェーンを軸に、他社には追随できないビジネスモデルの確立に取り組んでいく。

■メッツァ・グループについて

グループ名:Metsa Group

代表者:Ilkka Hamala(President and CEO)

グループ子会社:Metsa Fibre, Metsa Tissue, Metsa Board, Metsa Wood, Metsa Forest、他

売上高:約50億ユーロ(約6,500億円、2017年度実績)

従業員数:約9,000(2017年末現在)

 ニュースリリース

 Metsa Spring Oyのニュースリリース

 

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