このプロジェクトは、カナダ初の大型液化天然ガス(LNG)事業。地理的にも日本に近いカナダでアジアの主要LNG需要国と共に立ち上げる事業であり、日本を中心としたアジアの需要家にとって、カナダの豊富な天然ガスという新たなLNGの安定供給ソースが加わる。
そのなかで、同プロジェクトは年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を ブリティッシュ・コロンビア州キティマットに建設し、2020年代中頃からアジアを中心にLNGを供給する事業となる。天然ガス液化設備の総開発費は約140億米ドル(約1兆5,400億円・110円計算)を見込んでおり、三菱商事は持分比率である15%分の開発費を拠出し、LNG引取り(三菱商事持分年間210万トン)を行う。
また、三菱商事が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて日本政府より支援を受け、ブリティッシュ・コロンビア州でCutbank Ridge Partnershipを通じて開発を推進するMontney事業より原料ガスを供給することで、カナダにおいて上流事業から中流事業に亘る一貫した天然ガスバリューチェーンを構築する。
三菱商事は、約50年に亘るLNG事業実績があり、東南アジア・豪州・ロシア・米国・中東等で事業を推進してきた。新たに本プロジェクトを通じて、西カナダの雇用拡大・経済発展へ寄与すると共に、環境負荷の低いLNG事業の推進と、エネルギー安定供給に貢献することで、経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現を目指していく。
<事業概要>
所在地:ブリティッシュ・コロンビア州 キティマット港周辺(バンクーバー北西650km)
生産能力:年間1,400万トン(700万トン×2系列)
生産開始:2020年代中頃
生産期間:生産開始から40年間を予定
パートナー持分比率:Shell Canada Energy (40%)、North Montney LNG Limited Partnership (PETRONASの子会社、25%)、PetroChina Canada Ltd. (15%)、Kogas Canada LNG Ltd (5%)、Diamond LNG Canada Ltd. (三菱商事の子会社、15%)
事業概要:パートナー各社は、原料ガスを独自に調達した上で、全長670kmのパイプラインを通じて天然ガス液化設備へ輸送し、産出されるLNGを持分比率に応じて引き取る。
【パートナー各社概要】
Shell
(設 立)1907年
(本 社)オランダ ハーグ
(代表者)CEO Ben van Beurden
(事業内容)全世界で石油、化学品、天然ガス事業を営む欧州最大のエネルギー企業。
Petronas
(会社名)Petroliam Nasional Berhad
(設 立)1974年
(本 社)マレーシア クアラルンプール
(代表者)President & Group Chief Executive Officer Tan Sri Wan Zulkiflee Wan Ariffin
(事業内容)原油・天然ガスの開発・生産・供給、および石油化学工業製品の生産・販売を行うマレーシア国営エネルギー企業。
PetroChina(中国石油天然气股份有限公司)
(会社名)PetroChina Company Limited
(設 立)1999年
(本 社)中国北京市
(代表者)President Zhang Jianhua
(事業内容)原油・天然ガスの開発・生産・供給、および石油化学工業製品の生産・販売を行う中国国営エネルギー企業。
KOGAS(韓国ガス公社)
(設 立)1983年
(本 社)韓国大邱広域市
(代表者)President Seung-Il Cheong
(事業内容)韓国内のLNG受入基地及び全国ガス供給パイプライン網を運営する国営エネルギー企業。
参考:三菱商事やシェル、カナダでLNG開発 1.6兆円(日経電子版:2018年10月2日)