日本電産は9月3日、子会社である日本電産シンポ(京都府長岡京市)のドイツ現地法人Nidec-Shimpo GmbHを通じ、ドイツの小型精密減速機メーカーであるMSグレスナー社(MS-Graessner GmbH & Co.KG)及びグループ関連会社(以下、Graessner社)の株式100%を8月31日に取得、買収したと発表した。
日本電産は、日本電産シンポにより減速機の製造・販売・サービス事業をグローバルに展開している。日本電産シンポが取り扱う主力減速機は、精密遊星減速機(1)であり、その中でも入力軸と出力軸が同一方向である「同芯軸型」の精密減速機を得意としており、その商圏は、日本・中国を中心とするアジアと米州が中心。
これに対し、Graessner社は、入力軸に対し出力軸が直角方向にある「直交型」の精密減速機、中でもハイポイドギア(2)を得意としており、ドイツを中心とした欧州諸国を商圏としている。
今回の株式取得により日本電産シンポは、精密遊星減速機(同芯軸+直交)全種を有することとなり、遊星減速機の大市場である欧州においてGraessner社の販売網を活用し保有減速機を販売できる。加えて、近年日本電産シンポにて開発したロボット用揺動減速機(3)をGraessner社のドイツシュトゥットガルト工場にて製造し、同社ロボット産業顧客宛に販売・サービス対応することも見込んでいる。
同様に、日本電産シンポのアジア・アメリカでの営業・サービスネットワークを活用し、Graessner社製品を当該地域で一斉に販売する。また、日本電産シンポのアジア生産拠点を活用することで、Graessner社のコスト改善に資することが出来るものと考える。今回の株式取得により、今後も急速な成長が見込まれるロボット産業関連市場からの需要を積極的に取り込み、飛躍的な成長を目指していく。
日本電産シンポとGraessner社、それぞれが有する高い技術力とブランド力、強固な顧客基盤を相互に活かすことに加え、日本電産グループの資金力とグローバルベースでの高いプレゼンスを最大限活用し、顧客が最高水準の生産効率を実現できる製品とサービスを提供することにより、期待する成長が実現できると確信しているとしている。
<減速機の種類説明>
(1) 複数の遊星歯車(英: planetary gear)が自転しつつ公転する構造を持った歯車機構の減速機。
(2) かさ歯車の一種で、入出力の2軸がねじれの位置にあり、複数の歯が同時に噛み合う形状の歯車機構のため歯への負荷が分散され大きなトルクの掛かる用途に使われる減速機。
(3) カム・弾性軸受・フレックスギヤ・インタナルギヤから構成され、楕円と真円の差動を利用した機構で、小型軽量高効率を特徴としロボット等に使用される減速機。
<買収企業概要>
社名:MSグレスナー社(MS-Graessner GmbH & Co.KG)及び同関連会社
本社所在地:ドイツバーデン・ヴュルテンベルク州デッテンハウゼン
設立:1955年
役員:マイケル・スタッドラー(Managing Director兼CEO)、トーマス・メルク(Commercial Director兼COO)、(両氏は本件取引後も引き続き、CEO、COOとして留任する)
事業拠点:ドイツ、オーストリア
事業内容:精密減速機の製造及び販売
従業員:166名(2018年1月末時点)
<財務数値>
売上高21.8百万ユーロ(約27億円*)
営業利益2.1百万ユーロ(約3億円*)(営業利益率9.8%)
純資産15.1百万ユーロ(約19億円*)
総資産26.2百万ユーロ(約33億円*)
(2017年12月31日決算)
(*) 対ユーロの為替レートは2018年度弊社想定レートである125円を使用
参考:【NEW】第三弾 Monthly Nidec Report「勢いが増すロボット関連市場に日本電産はどう応えるか」を掲載しました