三菱造船と三菱日立パワーシステムズ（MHPS）は8月28日、共同開発した大型船舶向けの方形SOx（硫黄酸化物）スクラバー（排ガス浄化装置）について、中国国営造船集団である中遠海運重工有限公司（COSCO Shipping Heavy Industry Co., Ltd.：CHI、本社：上海）のグループ造船会社であるCOSCO Shipping Heavy Industry (Dalian) Co., Ltd.（CHI大連）と、製造・販売に関する協業枠組合意書（Collaboration Framework Agreement）に調印したと発表した。同スクラバーは、方形デザインを採用することにより船舶用機器に求められる省スペース性を向上したもの。
今回の合意に基づき、三菱造船およびMHPSは今後CHI大連と、方形スクラバーの製造・販売で提携し、設計から製造、船舶への搭載工事まで一連のプロセスにおいて信頼性の高い製品をワンストップで提供することにより、顧客の利便性向上へつなげていく。
同スクラバーは、MHPSが火力発電所向け排煙脱硫装置で培った脱硫技術を三菱造船のエンジニアリング力で舶用製品化したもの。実績ある排煙脱硫装置を船舶の限られたスペースに効率よく設置し、硫黄分濃度3.5％の従来燃料を使用した際の排ガス中のSO2（二酸化硫黄）を、2020年に全海域が対象となる排出規制に適合するレベルまで低減することができる。
製造および対象船舶への搭載を担当するCHI大連は、世界最大の船隊を擁するCOSCOグループの中で中国最大規模の船舶修繕・改修事業を誇るCHI傘下の造船会社であり、特に高い付加価値を持つ海洋開発関連製品の製造でも定評がある。
三菱造船およびMHPSは、CHI大連との緊密な連携を通じて、省スペースで信頼性の高い方形スクラバーの拡販活動を本格化させていく。