kikai-news.net

日揮、マレーシア国営石油会社とLNGプラントの生産性向上に関する協業に合意

■AI・IoTを活用したHot Air Recirculation 予測システム構築を目指す

 日揮(JGC CORPORATION)は8月6日、マレーシア国営石油公社(Petroliam Nasional Berhad、通称:ペトロナス社 PETRONAS)の100%子会社であるペトロナスリサーチ社(PETRONAS Research Sdn Bhd)と、空冷式LNG(液化天然ガス)プラントの生産性向上に関する協業に合意したと発表した。

 1960年代から1980年代に建設されたLNGプラントの多くは、天然ガスを液化する際に熱交換器から生じる排熱を海水に放熱する水冷式が採用されていたが、排熱設備から排出される温排水による環境への影響が懸念されたため、1980年代以降に計画・建設された大部分のLNGプラントは、熱交換器から生じる排熱を大気中に放熱する空冷式となっている。

 しかし、一部の空冷式LNGプラントでは、熱交換器からの高温の排気が吸気側に吸い込まれる、高温排気の再循環(Hot Air Recirculation,以下 HAR)により冷却能力が低下し、運転の不安定化や生産性の低下を招いていることが問題となっている。

 空冷式 LNG プラントのHAR問題に対し、日揮は2008年に検討チームを立ち上げ、空気の流れをコントロールし、HARの影響を最小限に留めた最適なプラントの設計・建設、および設備の配置等を内容とするAIRLIZE LNG(R)サービスを開発し、既に10件を超える実績を有している。

 一方、ペトロナス社は世界各地に有する数多くの石油・天然ガスプラントの操業を通じて豊富な経験と運転データを保有しており、協業により同社のこの強みと日揮が保有する高度な流動解析技術(CFD:Computational Fluid Dynamics)を含むAIRLIZE LNG(R)サービス、および操業シミュレーション技術を統合し、さらに人工知能などのAI・IoTを活用して新たなHAR予測システムの構築を進めていく。

 AIRLIZE LNG(R)サービスでは、プラント内の関連設備の改造を行い、空気の流れをコントロールしてHAR問題の解決を図るため、すでに完成したプラントでは改造が困難なケースもあったが、本協業による新たなシステムでは設備の改造を行うことなく、HARを予測して操業をコントロールすることにより、効率的かつ経済的に空冷式LNGプラントの安定操業や生産性向上を実現することが可能となる。

 現状、システムの設計はすでに完了しており、今後両社はペトロナス社が所有する同国LNGプラントにHAR予測システムを導入すべく、実証試験を進めている。

 日揮とペトロナス社は、HARを課題として抱える世界のLNGプラントオーナーに対してシステムの提案を行っていくとともに、新設LNGプラント計画に対する技術的な差別化の一つとしても提案していく。

 ニュースリリース

 

モバイルバージョンを終了