三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は8月6日、東京電力グループで火力発電・燃料事業を担う東京電力フュエル&パワー(東電FP、本社:東京都千代田区)が千葉県富津市の湾岸部で運営する富津火力発電所2号系列の発電設備換装工事で、当初計画比で約15%となる24日間の工期短縮を実現したと発表した。定格出力12万kW級の高効率ガスタービンH-100形の入れ替えに際して、重量物の運搬効率化や試運転の段取り改善を推進する。
通常180日間の設定期間を24日減らして、156日で完了したもの。MHPSは今回の成果を、H-100形の新規拡販、ならびに既存発電設備の稼働率向上ソリューション強化につなげていく。
2号系列の換装工事は、7軸からなる定格出力112万kW(16万kW×7基)のLNG(液化天然ガス)焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電施設について、2016年2月からガスタービンならびに蒸気タービンの更新を順次実施しているもの。24日の工期短縮は、このほど完工した最新の第4軸換装工事で達成。これにより全7軸のうち5軸の換装が完了した。今回の換装により、第4軸の発電効率は47.2%から54.3%へ飛躍的に向上し、年間で燃料費を約13億円低減するとともにCO2排出量を約6万t削減できる見込み。
MHPSは、初軸の換装着手以来、東電FPの協力も仰ぎながら、工程短縮に向けてさまざまな工夫を採用。特に、天井クレーン2基連結(改造)による重量物の一体吊り、試運転時の試験項目見直しなどが奏功し、新たな試みに対する熟練も手伝って、今回最大の効果を上げたもの。初軸の換装着工から2年半が経過した現在、完工後の初軸は運転時間1万2,000時間、起動発停回数250回を突破しており、安定した運転を実現しています。この高い安定・信頼性を踏まえ、今後は定期点検の間隔をさらに延伸することで、一層の保守コスト低減を実現するとともに、残り2軸の換装工事についても短期での完遂を目指す。
ヘビーデューティ型(注)の12万kW級2軸形ガスタービンであるH-100形は、2軸形のなかでは世界最大容量で、柔軟かつ機動的な運用で力を発揮する。加えて、起動時間が短く設置面積が少ない利点も、顧客から支持されている。今回、換装工期の短縮効果が加わったことにより、さらに高い市場競争力が見込まれる。
MHPSは、高効率の大容量発電システムから中小型ガスタービンを活用した省エネシステムまで、火力発電向けフルレンジの製品群を有しており、発電のトータルソリューションを提供できることが強み。今後も、市場の多種多様なニーズを的確に捉え対応しながら、電力の安定供給に寄与するとともに、エネルギーの低炭素化を促進し、地球環境の保全に貢献していく。
(注)一定の出力を維持して長時間連続運転することを前提として設計されたガスタービンで、手入れしやすく低い保守頻度で済むことが特徴。