新たに設立された協会は、ロボット・FA(Factory Automation)システムの構築などを行うエキスパートであるSIerの共通基盤組織として、SIerの事業環境の向上と能力強化に取り組み、SIerを取り巻く関係者間の連携を促進させることにより、産業界における生産活動の高度化を推進し、我が国の産業の持続的発展と競争力の強化に寄与することを目的としている。
「人口減少社会」という局面を迎え、長期的な労働力不足は我が国における共通課題となっているなか、政府は2015年以降、「ロボット新戦略」を打ち出し、ロボット産業全般の強化を進めている。経済産業省(製造産業局産業機械課ロボット政策室)と日本ロボット工業会は、2017年11月7日、「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)」の第1回設立準備総会を開くなど準備を進めていたが、このほどSier会員123社、協力会員21社、計144社(6月15日現在)が集い、正式に発足することになったもの。
■高まるロボットシステムインテグレータの重要性
ロボットの活用は、企業における人手不足への対応に加えて、作業員の過酷環境や危険作業からの解放など、さまざまな可能性を持っている。しかし産業用ロボットは、ロボット単体だけでは作業の自動化という目的を果たすことはできず、ロボットの先端にハンドを取り付け、動き方をプログラムし、センサや周辺設備と組み合わせた一連のシステムとして構築することで初めて機能する。
このようなロボットシステムを自社で構築するのが困難な企業にとって、様々な機械装置や部品などから必要なものを選別し、最適なロボットシステムを構築する業務を担う「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)」と呼ばれる事業者は、ロボットの導入を検討するうえで重要な存在。
発足した協会は、今後、Sierを中心としたFA・ロボット業界ネットワークの構築、Sier事業基盤の構築、システム・インテグレーションに対する専門性を強化するための、技術・安全講習を通した人材育成や教材開発等――に取り組む。