三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ(本社:東京都港区)は7月11日、ドイツの空調・冷凍機器販売会社であるハイフォ社(HEIFO Rüterbories GmbH & Co. KG)と、合弁により輸送冷凍機(通称:陸上輸送用冷凍ユニット、陸上レフユニット、陸レフ)の欧州における販売・サービス会社を設立することで合意したと発表した。社名は「Mitsubishi Heavy Industries Thermal Transport Europe GmbH」となる。同地域での機動的営業力および技術提案・保守面の支援機能を強化し、販売拡大につなげるのが狙いで、新会社は9月に発足し、西・中欧全域を視野にドイツや北欧を中心として事業展開していく。
ハイフォ社は、自動車産業が盛んなニーダーザクセン州のオスナブリュク(Osnabrück)市に本社を置き、三菱重工ブランド輸送冷凍機のドイツにおける販売・保守を行ってきた。新会社は同市に設立。資本金は600万ユーロ(約8億円)の予定で、うち60%を三菱重工サーマルシステムズが出資する。製品供給については当面、日本および中国から行う。
三菱重工の輸送冷凍機事業は、2005年ごろから国内向けに開発した輸送冷凍機の一部製品を対象に欧州規格を取得して、有力トラックメーカーが多いドイツやスウェーデンなどを中心にそれらを供給してきた。このほど、同市場で一定の評価ならびに支持を獲得できたことから、直轄の営業統括拠点を確保して、自前の販売・サービスルートを開拓していくことにした。特に、英国、フランス、イタリア、スペインなどをドイツ・北欧に次ぐ有望市場ととらえ、新会社でのマーケティング結果に基づき、欧州仕様の製品開発も手掛けていく。
新会社の欧州市場に投入する機種、販売戦略などについては、ドイツのハノーバー(Hannover、ニーダーザクセン州)で9月20日(現地時間)に開幕する「IAAハノーバー国際モーターショー(商用車)」(Internationale Automobil-Ausstellung)でお披露目する予定。
三菱重工サーマルシステムズは、輸送冷凍機事業のグローバル市場展開強化に向け2016年10月、100%出資の国内総販売会社である菱重コールドチェーン(RCC、本社:東京都千代田区)を通じてタイに現地企業との合弁でアジア市場を見据えた販売・サービス会社「RCC Asia Co., Ltd.」を設立しており、今回の欧州拠点設立はこれに次ぐもの。