新明和工業は7月6日、航空旅客搭乗橋の自動装着システムを開発、成田国際空港とチャンギ空港(シンガポール)から受注したと発表した。両空港へは、2019年2月に納入する計画。
開発した自動装着システムは、航空旅客搭乗橋が、航空機のドア(乗降口)の10cm手前まで自動で接近するのが特長で、世界で初めて新明和工業が実用化した。2つのカメラ、画像処理装置とレーザー距離計で構成するこのシステムは、人工知能(AI)を活用したもので、航空機のドアの100cm手前までの接近が限界だった従来の自動走行システム(プリセット走行)と比べて、航空機に自動で近づける距離を大幅に短縮した。これにより、オペレーターの技量が不要となり、未経験者でもボタン一つで精度の高い装着操作ができるようになった。国内の空港運営で課題となっている「人手不足」「操作訓練時間の短縮」に加えて空港施設における重要課題の一つである「定時運行率向上」の一助となることが期待できる。
今回、成田国際空港とチャンギ空港からの受注に先駆けて、新明和工業では、2015年10月から徳島阿波おどり空港で開発した自動装着システムの実証実験を行ってきた。数千回以上に及ぶ検証の結果、安全性の確認ができたことから、今回の両大型国際空港での採用に至った。なお、徳島阿波おどり空港では、実証実験終了後も引き続き、同システムを使用されている。
新明和工業は、1969年に国産初の航空旅客搭乗橋を東京国際空港へ納入したパイオニアで、これまで、世界60カ国以上の空港に延べ1,000基以上の製品を納入している。近年は、シンガポール、タイなど東南アジアでの採用が拡大しており、現在、同地域ではトップシェア。とりわけシンガポールのチャンギ空港では、現在稼働している218基全てが新明和工業製でメンテナンスも請け負っている。同空港の「99.95%の稼働率」という厳しい条件をクリアし続けている実績に裏打ちされた業務品質で、先頃、大阪国際空港・関西国際空港向けに100基受注するなど、国内外の主要な空港施設会社から信頼を得ているという。