■中国でのプレゼンスを再編、建機・農機の新パートナー候補と交渉
・DEUTZはFAW(中国第一汽車集団公司)との合弁会社からの撤退を意図している。
・DEUTZ大連と2018年の売上・利益に大きな影響を与えることはない。
・新しい現地パートナーとの話し合いが進んでいる。
ドイツの大手エンジンメーカー、DEUTZ AGは、世界最大のエンジン市場である中国でのプレゼンスを再編し、将来の機会をより有効に活用していく。同社の取締役会は、DEUTZ AGとFAW(中国第一汽車集団公司)が商業的重要性について共通の理解に達した後、7月3日、DEUTZ Dalian(大連)合弁会社から完全に撤退し、同社株式の50%を合弁パートナーFAWに売却することを決定したと発表した。予定されている取引はDEUTZ AGの監査役会の承認を条件としており、2018年後半に完了する必要がある。DEUTZはDEUTZ Dalianからオフ・ハイウェイ・アプリケーション用のエンジンを引き続き入手することができる。FAWとDEUTZは今後もパートナーシップの精神で協力し続ける。
今年、DEUTZは、DEUTZ大連の合弁事業の売却および関連するライセンス収入から、約1,000万ユーロ(約13億円、130円計算)の収益を期待している。2018年上半期の収益は、1桁台または2桁台後半の数百万ユーロの合計で減少する可能性がある。しかし、処分からの収入は、2018年にかけてこの金額を大幅に上回ると見込まれている。その結果、DEUTZ大連の合弁事業およびその売却は、今年の業績に大きな影響を及ぼすとは考えられない。
2017年12月31日現在、DEUTZ Dalian(DDE)は帳簿価額3,840万ユーロで連結財務書類に含まれていた。このうち、1,550万ユーロはその他の包括利益に認識されるポジティブな為替差異に起因し、処分の際に損益に組替えられた。財務的な観点から、連結貸借対照表上の残りの帳簿価額は、為替差額を純損益に組替えた後で、わずか2,300万ユーロを下回る。
2018年4月に、DEUTZは戦略的オプションの見直しの一環として合弁事業の帳簿価額を検討していると発表した。4月に計算された評価調整額は、財政的な観点から、現在、DDE株式の計画販売の実施に伴い約2,300万ユーロに制限されることになった(1,600万ユーロから3,200万ユーロの範囲になる)。現在入手可能な情報に基づき、これはDEUTZ連結財務諸表における合弁事業の帳簿価額の評価減の規模となる。現在のところ、調整額は、過去の期間にかなりの程度まで関連すると予想されている。DEUTZは、2018年上半期の中間報告書(2018年8月2日に公表される)に開示された時点で、最終的な評価調整の詳細を提供する。
数ヶ月前、DEUTZはChristianZürnstein(クリスチャンズ・レンシュタイン)をアジア太平洋地域の新しいCEOに任命した。彼は中国市場での広範な実績を持ち、中国上海を拠点としている。Zürnsteinのリーダーシップの下、DEUTZ AGは中国での販売活動を強化し、ディーラーネットワークを大幅に拡大する予定。
「当社の市場プレゼンスを変えることで、我々は今後もより強固な成長を遂げ、中国でより成功を収めたいと考えています」と、DEUTZ理事会のFrank Hiller(フランク・ヒラー)博士会長は説明する。
「中国市場は、アライアンスの潜在的可能性を含め、当社と当社の革新的技術にとって非常に良い機会を提供すると確信している。同時に、私たちは過去に期待していなかった活動から撤退しています。 これにより、中国における当社事業の戦略的再編の道が開かれる」と語った。建設機械や農業機械業界の主要な現地パートナーとの新たな提携に関する話は、すでに先進的な段階に達している。
将来の機会は、2020年に導入されたオフ・ハイウェイ用途の中国4排出基準の実施の結果として、中国市場におけるDEUTZに対して生じるであろう。中国4は、欧州の排出ガス規制と同様であり、 世界の排出ガス基準。DEUTZは、オフ・ハイウェイ市場でこの規格に必要な技術を既に持っている。これは、多くの地元の市場プレイヤーにとって大きな課題となっている。これにより、DEUTZにとって新たな市場機会が創出され、中国の大手機器メーカーと現在交渉中のアライアンスの可能性が広がる。その結果、DEUTZは販売活動だけでなく、中国での生産活動を継続する。
参考:FAW(中国第一汽車集団公司)グループは、高品質の乗用車、トラック、バスの世界的な大手メーカー。1953年に設立され、同社は中国で最も古く、最大規模の自動車グループ。年間販売台数は100万台を超えている。エンジン合弁会社は、2007年9月に操業を開始していた。