大成建設は7月3日、力触覚伝達技術を利用した遠隔操作システムの新しいプロトタイプを開発したと発表した。システムは、食品や医薬品製造工場など生産施設における導入を想定。大成建設は今後、協力企業と共に力触覚伝達遠隔操作技術の普及展開により、生産施設における生産性向上の実現に向けた取り組みを継続していく。
大成建設では、昨年度より5本指のロボットアーム(遠隔側)と力触覚グローブ(操作側)を組み合せ遠隔操作する初期プロトタイプの開発を開始した。このシステムでは、物体を掴む際の微妙な力加減の情報を双方向に伝達でき、作業員による手作業をいつでもどこからでも遠隔操作することが可能で、将来的には作業手順や力加減などを学習・再生し、最適な作業パターンの実現を目指している。しかし、開発過程において、システム構成が複雑で、かつ操作者によるロボットハンドなどの動作制御が難しく、また一般ユーザの操作習熟には時間や経験を要するという課題が生じた。
そこで大成建設は、力触覚伝達技術の普及展開を進める上で障壁となりうる上記課題を解決すべく、昨年度開発した初期プロトタイプを改良して、システム構成、形状および操作性の単純化などについての検討を進めてきた。
今回、開発した2本指の新型プロトタイプは、実際の生産現場にも導入しやすい汎用品を多用したシンプルなシステム構成となっており、誰でも容易に遠隔からロボットを直接操作し、作業手順や力加減などの動きを記憶させることができるよう工夫されている。