■IoT、AI 社会の到来でグローバルに急拡大する需要に対応
㈱カネカは6月26日、滋賀工場(滋賀県大津市)に超耐熱ポリイミドフィルム(*1)の生産設備と、グループ会社の栃木カネカ(本社:栃木県真岡市)に超高熱伝導グラファイトシート(*2)の生産設備の増設を決定したと発表した。投資額は合わせて約110 億円で、いずれも 2019 年春の稼動を予定している。IoT、AI 社会の到来に伴い、急速に高性能化するデジタルデバイス、通信システムを支えるポリイミド材料への旺盛な需要に対応するために生産能力を増強する。
今回の投資により、超耐熱ポリイミドフィルムの年間生産能力を日本、米国、マレーシア合計で約3割引き上げ、また、そのフィルムを原料とした超高熱伝導グラファイトシートの年間生産能力を約3 倍と大幅に増やす。カネカグループは超耐熱ポリイミドフィルムから超高熱伝導グラファイトシート、それを加工した電子部品までの一貫した新製品の開発、生産・品質管理に強みを有しており、今回の生産能力増強により更なる事業拡大をはかっていく。
超耐熱ポリイミドフィルムは、主用途であるフレキシブルプリント回路基板(FPC)向けの需要がスマートフォンなど携帯端末の高機能化により拡大していることに加え、通信・車載・医療・工業用向けにも市場が拡がっている。また、超高熱伝導グラファイトシートは、デジタルデバイス、通信システムの高性能化により、熱対策材料向けの需要が急拡大しており、今後はその原材料である超耐熱ポリイミドフィルムの供給不足も懸念される状況にある。
*1 優れた耐熱性、耐寒性を有する高機能性フィルムで、フレキシブル回路基板用途の他、鉄道車両用モーターや航空機電線の絶縁用途、情報衛星などの宇宙用途にも幅広く用いられている。
*2 ポリイミドを原料とした高分子設計技術と高温での焼成技術をベースに生産。銅の3倍に匹敵する熱伝導率を持つ。スマートフォンやタブレットを中心としたモバイル機器の CPU 向けに加え、新デバイス向け構造部材向け熱対策材料として今後更なる需要拡大が見込まれる。