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中国のロボット産業、2016年の8.7万台から2020年は21万台の出荷予測(IFRと前膽産業研究院より抄訳)

1.IFRのWorld Robotics 2017より

(IFR:The International Federation of Robotics)

■世界のトップ5市場:中国は2016年(販売)87,000台で30%シェア

 産業(工業)用ロボットには、中国、韓国、日本、米国、ドイツの5つの大きな市場(2016年販売台数の74%)がある。うち中国は2016年に30%のシェアを持つ最大市場としての地位を大幅に拡大した。2016年に約87,000台の産業用ロボットの販売で、中国は欧州とアメリカの合計販売台数(97,300台)に近づいた。中国のロボットサプライヤーは、2016年に国内マーケットシェアを31%まで拡大し続けた。

■中国は自動化で歴史的記録を破る

 国際ロボット連盟(IFR、本部:独フランクフルト)は2017年8月16日、急速にオートメーションの世界的リーダーになっている中国のロボット需要予測を発表した。それによると、中国は2018年から2020年にかけて、産業用ロボットでは年平均15〜20%の売上増加が可能としている。2016年の販売台数は過去最高レベルに達し、前年比27%増の87,000台となった。産業用ロボットの稼動在庫は世界最高レベルとなると同時に、中国のロボットメーカーは、自国の市場シェアを拡大しているとされている。(2020年には21万台の予測)

■電気および電子産業が牽引役

 中国における最新の成長の主な要因は、電気・電子産業。売上高は75%増加し、ほぼ3万台(2016台)に達した。ロボットの約3分の1は、中国のロボットサプライヤーによって生産されたもので、売上高は約120%以上と倍増した。また、国際的なロボットサプライヤーはすべて、電気・電子産業(+59%)への売上を大幅に伸ばした。この顕著な需要は、今後さらに拡大するだろう。電子機器の大手契約製造業者はすでに生産を自動化し始めている。例えば、半導体およびチップ産業は、自動化に強く投資してきた。ますます増え続ける電気自動車やハイブリッド車の需要に対応するために、大規模なバッテリー製造施設が設置されている。

■自動車産業はポールポジションを失った

 自動車産業は電気・電子産業へのポールポジションを失ったが、依然として産業用ロボットの販売にとって強力なドライバーである。中国は、世界最大の自動車市場と、世界最大の電気自動車を含む自動車の生産拠点となっており、成長の可能性が高い。

 中国への販売は、2016年に産業用ロボットの世界的な供給量の25%を自動車産業に提供した。2011年から2016年にかけて合計108,000台が設置され、年間平均18%の増加となった。

 自動車産業における中国のロボットサプライヤーの市場シェアは依然として低レベルだが、10%から13%に増加した。中国は、すべての種類の消費財に対する需要の高まりに伴い、成長が最も大きい消費者市場である。その結果、様々な業界でも生産能力の拡大と生産の自動化が開始されている。

 一部の国際ロボットサプライヤーは既に中国に生産工場を立ち上げており、今後数年後にはさらに多くのロボットが追随するだろう。中国のほとんどの産業用ロボットは、日本、韓国、ヨーロッパ、北アメリカから輸入されている。

■中国の2020年見通し

 中国政府は、10年国家計画「Made in China 2025」(中国製造2025)に基づき、中国を製造業の巨人から世界の製造業界に変えたいと考えている。この計画には、中国のロボットサプライヤーを強化し、中国および海外の市場シェアをさらに拡大することが含まれる。 中国は2020年までに世界のトップ10の最も集中的に自動化された国に進出させようとしている。その時までに、ロボットの密度は150台に達することを目標にしている。これは10,000人の従業員あたりの産業用ロボットの台数だ。今日、アジアは531台のロボットユニットを持つ韓国のロボット密度に関するリーダー。米州では176台のロボットを持つ米国、ヨーロッパでは301台のロボットを持つドイツである。

2.中国のロボット産業、「2018年工業用ロボット業界の現状と発展動向分析」より

■年平均伸び率は30%を超える

 中国のロボットは、現在高度発展期に入っている。2018の工業用ロボットの発展は速く、年平均伸び率は30%を超えると予想される。

■工業用ロボット業界の発展段階

 中国の工業用ロボット研究は1970 年代にはじまり、大まかに四つの段階に分けることが出来る。すなわち、理論研究段階、サンプル研究開発段階、プロトタイプ応用段階と初期産業化段階である。

 理論研究段階は1970 年代から80 年代初期を指し、この段階は、当時、国の経済条件等の要因による制約から、主に工業用ロボットの基礎理論研究に従事し、ロボットの造助学、機構学などに一定の進展が見られ、工業用ロボットのフォローアップ研究の基礎を築いた。

 試作研究開発段階は1980 年代中期を指す。工業先進国が工業用ロボットの大量使用と普及を始めたのに伴い、中国の工業用ロボット研究は政府の重視と支援が得られ、国は工業用ロボット需要業界の調査研究を組織し、大量の資金を投入して工業用ロボットの研究を繰り広げ、試作開発の段階に入った。

 プロトタイプ応用段階は1990 年代を指し、この段階で、平面関節型分配ロボット、直角座標ロボット、アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット及びセルフガイド類等7 種類の工業用ロボット製品シリーズ、合計102 種類の特殊ロボットを研究製作し、100 余項目のロボットアプリケーションエンジニアリングを実施した、同時に、国産ロボットの産業化を促進させるために、20 世紀90 年代末に9ヵ所のロボット産業化基地と7 つの科学研究基地を設立した。

 初期産業化段階は21 世紀に入った後を指す。国は中長期科学と技術発展計画要綱で自主イノベーション能力増強の大筋を際立てさせるために、自主イノベーションに有利な政策環境の建設に力を入れ、企業がイノベーションの主体となるよう促し、企業が主体となって、産学研が緊密に結びついた、国内の多くの企業あるいは自主研究製作あるいは研究院、研究所との合作を大いに提唱して、工業用ロボットの研究、制作と生産隊列に入って行った、中国の工業用ロボットは初期産業化の段階に入った。

 上述の4 段階に発展を経て、中国の工業用ロボットはある程度の普及することが出来た。前膽産業研究院が発表した「工業用ロボット業界の生産販売需要予測と構造転換グレートアップ分析報告」に基づくデータによると、2016 年、中国の工業用ロボットの保有台数は30 万台に達している。このほか、先進的製造業国家と比べて、中国の工業用ロボットの使用密度とはまだ少なからずの格差があり、工業用ロボットの保有台数には、まだ大きな成長スペースがある。

■工業用ロボット業界の今後の動向

 第一に、工業用ロボットは更に加速して発展するであろう。工業用ロボットは典型的な機電一体化デジタル化装備であり、技術的付加価値が高く、応用範囲が広く、先進的製造業のサポート技術と情報化社会の新興産業として、今後の生産と社会発展に対してますます重要な役割を果たすであろう、業界発展の先行きは良好である。

 IFR の予測によると、産業の構造転換グレードアップの需要、人件費コストの上昇、及び国の政策支援に伴い、2017~2020 年、中国工業用ロボットの今後の伸び率は30%以上に達し、2022 年になると、中国の工業用ロボットの年間販売台数は27 万台を超える。

 第二に、アプリケーション分野は日増しに広がっている。40数年の発展を経て、工業用ロボットはますます多くの分野で使用されている。製造業の中で、特に自動車産業では、工業用ロボットは幅広く使用され、比率は30%を超えている。工業用ロボットがより深く、より広い方向に発展し、ロボットのインテリジェント化レベルの向上に伴い、ロボットのアプリケーション範囲は絶えず広がって、すでに自動車製造からその他の製造業に広まっている。

 第三に、生産基地の移転。中国とインド等発展途上国における工業用ロボット市場の広がりに伴い、世界の工業用ロボットをリードしている国の市場規模の伸び率は減速している、世界の先進的工業ロボットメーカーは、次第にその業務発展の重心を発展途上国へ移転しつつあり、これにより現有市場の余剰生産能力を消化することで、同時にその業務利益を増やしている。

 第四に、業界の競争はより激烈になる。現在、工業ロボット製造は、各大手メーカーが参入したいと思っており、従来の機械メーカー企業であれ、電機企業であれみな今後の工業用ロボット市場でシェアを獲得したいと望んでいる。

 今後の国内工業用ロボットメーカーが直面する競争は、単に外国企業、例えばABB、ファナック、KUKA と安川電機等の大手から来るだけではなく、さらに自国のクロスセクター型企業(いくつかの業種にまたがる企業)からも参入することが予見でき、業界の競争は一層激烈になるであろう。

 以上

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