■キュポラ溶解炉でもみ殻を主原料とする多原料バイオコークスを代替使用した世界初の試み
㈱クボタは5月11日、阪神工場(武庫川)のキュポラ溶解炉で、もみ殻を主原料とする多原料バイオコークスを石炭コークスの代替燃料として使用する世界初の実証試験を実施したと発表した。
この試験は、(一財)石炭エネルギーセンターが環境省から委託を受けて実施している平成29年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「多原料バイオコークスによる一般廃棄物処理施設でのCO2排出量25%削減の長期実証」の一環として行った。
水道インフラの整備に欠かすことができない水道用ダクタイル鉄管を製造するキュポラ溶解炉(溶解工程)は鉄スクラップと石炭コークスを交互に投入し、石炭コークスを燃やすことで鉄を溶かす。石炭コークス燃焼により発生するCO2の削減は大きな課題。クボタはCO2排出量削減のため再生可能エネルギーの利用拡大を重点施策の一つとして掲げており、多原料バイオコークスは、もみ殻、樹皮など植物系の廃材から作られるカーボンニュートラルな新燃料で、石炭コークスの一部を代替することが期待されていることから今回実証試験を行った。
<実証試験の概要>
[1]実施期間:2017年9月~2018年3月末
[2]実施場所・設備:阪神工場(武庫川)ダクタイル鉄管用のキュポラ溶解炉(実生産設備)
[3]実施内容:多原料バイオコークスのキュポラ溶解炉での石炭コークス代替テスト
(1)投入した多原料バイオコークスの種類:もみ殻含有率60%
(2)石炭コークスの代替率(重量比換算):最大6.0%(溶解プロセスの連続操業時)
(3)多原料バイオコークスの使用量:合計60トン
<実証試験の結果と今後の予定>
水道用ダクタイル鉄管を製造するキュポラ溶解炉で石炭コークスの代替として多原料バイオコークスを利用するには、物性や性状の更なる改善が必要なものの、石炭コークス代替としての可能性は見出すことができた。今回の結果を活かし、今後も多原料バイオコークスの普及に向けて実証事業に協力していく予定。