国内は、堅調な設備投資の拡大を背景に受注高は増加したものの、会計処理の変更によって一部売上高が減少したことに加え、自動化ニーズの増加などによる生産設備の高度化や部品需給の逼迫によりリードタイムが長期化したことで、売上高は1,306億円(前期比0.4%減)となった。
損益面は、製造合理化によるコスト削減に取り組んだことや、前年度と比較して円安に推移したこともあり、営業利益379億円(前期比14.9%増)、経常利益406億円(同18.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益298億円(同15.3%増)といずれも増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となった。
<金属加工機械事業> 受注高2,653億円(前期比16.3%増)、売上高2,492億円(前期比8.6%増)といずれも前年度比で増加した。板金部門は、従来のCO2レーザ商品と比較して省エネルギーかつ高速切断を実現するファイバーレーザ商品の販売が海外を中心に拡大し、また急速に進む省力化ニーズに対応したベンディング自動化商品が国内や欧米で拡大したことで、売上高2,231億円(前期比8.3%増)となった。
溶接部門は中国で電気自動車関連向けや欧米を中心に医療機器関連向けの販売が好調に推移したことで、売上高260億円(同11.1%増)となった。営業利益はファイバーレーザ商品の原価低減推進等の製造合理化によるコスト削減に取り組んだことで、292億円(同16.8%増)となった。
2017年度に行った主な活動は以下のとおり。
・ファイバーレーザ発振器のバージョンアップによる高出力化、原価低減の推進
・加工部の熱量を精密に制御する機能を搭載したファイバーレーザ溶接機の市場投入
・IoT技術によってマシンの稼働を支える情報提供を行う「IoTプロダクト」や付加価値検証、安定稼働支援を行う「IoTサポート」を提供する「V-factory」の本格展開に向けたモニター試験運用の実施
・仏シャルルビル=メジエール工場をリニューアルオープンし生産能力を増強、新たにSCMセンターも併設することで商品供給体制の最適化を推進・IoT技術を利用した最新鋭無人化パンチング金型工場を岐阜県土岐事業所内で始動させ、生産能力増強、納期短縮を推進
・CEATEC JAPAN 2017に初出展し、ブランド認知度向上とIoT推進をアピールする等、国内外での展示会への積極出展・ポーランドにテクニカルセンターをオープンし、東欧における実証加工提案型の営業を推進
<金属工作機械事業>: 受注高558億円(前期比20.3%増)、売上高501億円(同4.3%増)といずれも前年度に比べ増加した。また、営業利益は83億円(同9.5%増)となった。
切削部門では新商品効果もあり、海外を中心にバンドソーマシンの販売が拡大した。プレス部門は、自動車関連の設備投資が好調な中国で販売が増加したが、国内では低調に推移した。また工作機械部門では、海外において精密金型、特殊工具関連向けに主力のプロファイル研削盤の販売が堅調に推移した。
2017年度の主な活動は以下のとおり。
・加工領域を拡大し鋼材業・鉄骨加工業向けにレーザ切断加工機を拡販
・三和ダイヤ工販株式会社を買収し、株式会社アマダサンワダイヤを発足、セラミック・カーボン・石英ガラス等の新素材加工市場へ進出
・国内外での展示会出展(MF-Tokyo2017、MECT2017、EMO2017、METALEX2017等)
・プレス部門において、大型プレス機の代替として中型プレス機のタンデム運用によるフレキシブル生産を提案
■地域別の状況
海外売上高比率は、前期の52.9%から56.5%となった。主要地域の状況は以下のとおり。
日 本:受注状況は各部門で堅調に推移し、OA機器や通信機器などの電気電子機器関連向けや半導体製造装置、産業機械等の一般機械関連向けの販売が拡大したが、生産設備の高度化や部品需給の逼迫によりリードタイムが長期化したことで、売上高は1,306億円(前期比0.4%減)となった。
北 米:米国では好調な設備投資に伴い、厨房機器や空調機器等の建築関連向けや一般機械関連向けの販売が好調に推移し、カナダでも電気電子機器等の精密機器関連向けや建築関連向けの販売が好調に推移したことで、売上高は578億円(同11.7%増)となった。
欧 州:ドイツでは厨房機器等を中心に、フランスではサッシ・ドア等を中心に建築関連向けの販売が好調に推移し、イタリアでは、農業機械等の一般機械関連向けや精密機器関連向けに販売が好調に推移した。またポーランドにテクニカルセンターを設立したことで、東欧やロシアなどの新興国市場でも販売が回復し、売上高は588億円(同19.6%増)となった。
アジア他:中国では、上海や深圳地域で電気電子機器関連向けに販売が増加し、韓国では半導体製造装置を始めとする一般機械関連向けの販売が拡大した。またインドでも配電盤や建設機械等の一般機械関連向けを中心に販売が好調に推移し、ブラジルなどの資源国でも販売が回復に向かったことで、売上高は532億円(同14.3%増)となった。
■2019年3月期の見通し
今後の世界経済は、米国は通商政策をめぐる不透明感はあるものの設備投資は引き続き堅調に推移し、欧州経済も緩やかな回復が続き、アジアやその他の地域も引き続き堅調に拡大する見込み。日本もオリンピック対応や人手不足による省力化ニーズの増加等、設備投資は堅調に推移すると思われる。一方で地政学的なリスク等による為替変動や経済環境の変化には、引き続き注視が必要な状況にある。
アマダグループでは東部を中心とした米国における販売・供給体制の強化、インドネシアや中東等の新興国への成長投資を推進するとともに、引き続き成長ビジネスであるファイバーレーザ商品や省力化ニーズに対応した自動化・ロボット商品の拡販による売上高の拡大を見込んでいる。利益面では円高による為替の影響はあるものの、新商品の投入による販売価格の改善や製造合理化に継続して取り組むことで利益の最大化を目指す。
2019年3月期(2018年度)の連結業績は、売上高3,100億円、営業利益405億円、親会社の所有者に帰属する当期利益285億円の見通し。なお、2019年3月期より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定、IFRSに基づき予想値を算出しているため、日本基準を適用していた2018年3月期の実績値に対する増減率は非記載としている。