東芝機械が5月9日に発表した2018年3月期(2017年度)連結業績によると、受注高は、1,281億3,900万円(前年度比9.5%増)、売上高は、一部の部材の調達遅れの影響を受けたものの、1,168億6,200万円(同5.0%増)となった。損益については、 原材料の高騰等の悪化要因があったものの、原価低減の諸施策による成形機セグメントを中心とした利益改善が継続した結果、営業利益は46億4,000万円(同3.7%増)、経常利益は、受取解約金や為替差益による営業外収益の増加により、69億8,200万円(同29.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、50 億1,600万円(同182.4%増)となった。
射出成形機は、国内、中国、インドの自動車向けを中心に販売と受注が堅調に推移した。自動車・二輪車向けを主な供給先とするダイカストマシンは、国内、中国、インドの需要回復や東南アジアのハードディスクケースの需要を受けて、販売と受注が堅調に推移した。押出成形機は、中国の二次電池関連業界向けシート・フィルム製造装置の需要拡大の継続を受けて、販売と受注が堅調に推移した。
この結果、成形機事業全体の受注高は、922億9,500万円(前年度比15.5%増)、売上高は、802億6,500万円(同11.7%増)、営業利益は、46億5,900万円(同32.2%増)となった。
■工作機械事業(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤、精密加工機など)
工作機械は、業界全体は中・小型機を中心に好調に推移したが、大型・特殊機の国内外需要は軟調に推移した。このような状況のもとで、販売は、北米、韓国の機械部品加工向けが増加したものの、それ以外の地域で減少した。受注は、注力する自動車・航空機市場に対する施策の成果が見え始めたものの、北米のエネルギー向け設備投資や鉱山機械向けの需要低迷が継続した。一方で、工作機械業界の好調さに牽引され、国内外の一般産業機械向け全般に設備投資の動きが出始めている。
精密加工機は、アジア向けの中小型ディスプレイ金型加工の需要減少や、国内レンズ金型加工の一時的な需要停滞を受けて、販売は減少した。受注は、国内の自動車用光学部品金型や中国、台湾のスマートフォン金型向けの需要増加を受けて、堅調に推移した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は、241億8,600万円(前年度比0.3%減)、売上高は、237億800万円(同20.3%減)、営業損失は、11億3,000万円(前年同期は営業利益4億2,200万円)となった。
■その他の事業(産業用ロボットト、電子制御装置など)
前年度に受注した微細転写装置の減少を受けて、その他の事業全体の受注高は減少したが、産業用ロボットは、国内の自動車等の自動化関連設備や、東アジアを中心とした電子デバイス・スマートフォン関連部品の組立自動化設備向けに、販売と受注が堅調に推移した。
この結果、その他の事業全体の受注高は、116億5,700万円(前年度比9.1%減)、売上高は、158億3,300万円(同25.1%増)、営業利益は、10億500万円(同149.6%増)となった。
■2019年3月期の見通し
今後の経済環境は、緩やかな回復基調で推移することが期待されるものの、中国をはじめとする新興国経済の動向、米国の保護主義的政策への転換による世界経済への波及、国際的に深刻化する貿易摩擦不安、世界的な地政学リスクの高まり、為替変動等先行き不透明な状況が続くことが予想される。また、国内外企業との競争激化等厳しい事業環境が想定される。このような状況のもと、東芝機械グループは、国内外工場における生産のさらなる効率化、調達難の解消も含めた最適調達の一層の強化等のグループ全体での総原価低減諸施策の実施、地域・顧客等新市場の開拓、市場・顧客ニーズにあった新商品の開発・販売等によりグローバル市場でのブランド力を高め、さらなる収益の拡大に努めていく。
2019年3月期(2018年度)の見通しについては、売上高1,350億円(前期比15.5%増)、営業利益69億円(同48.7%増)、経常利益77億円(同10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益57億円(同13.6%増)を予想している。
通期見通しにあたっての為替レートは、1米ドル=108円を前提としている。