東レは5月7日、ポリオレフィン発泡体「トーレペフ(R)」の生産能力増強を決定したと発表した。滋賀事業場(滋賀県大津市)に年産約2,000トンの生産設備を増設し、2019年10月の稼働開始を目指す。今回の増設により、海外も合わせた東レグループにおけるトーレペフ(R)年産能力は13,000トンに拡大する。
トーレペフ(R)は、軽量、断熱性、緩衝性、成形性、非吸水性等の特長を有したポリオレフィン発泡体。独自発泡方法による品質安定性と成形加工性の良さにより、電子機器部品、家電製品の断熱材、住宅・土木用のクッション材など様々な用途に採用されている。特に近年、自動車内装用途が急激に拡大している。
今日の自動車産業において、内装材として使用される柔軟なポリオレフィン発泡体は、その質感から快適性向上につながることから需要が拡大している。自動車大国である米国では、自動車メーカー各社は内装材高級化を車種差別化の戦略として重視しており、ドアパネルやインストルメントパネル材料などのソフトタッチ内装材用としてトーレペフ(R)の採用が増加している。
この内装の高級化・ソフト化のトレンドは、日本・中国市場にも展開され、搭載車種・部位の増加に加え、今後中国における自動車生産台数の増加が見込まれるSUV系車種では、米国市場と類似した内装の高級化が進み、発泡体搭載車種の増加が見込まれている。
東レは、日本と米国子会社 Toray Plastics (America),Inc.(本社:米国ロードアイランド州、以下「TPA」)の2拠点でトーレペフ(R)を製造、販売しており、日米連携しながら事業運営を行っている。TPAでは生産設備増強を完了し、2018年2月から稼働している。
今回の生産能力増強は、アジア圏での自動車内装用途の需要拡大、また国内各用途の旺盛な需要への対応を目的としている。日本での早期の生産能力拡充により、日本や中国を含むアジア市場への安定的な供給の責任を果たすとともに、一層の事業拡大を目指していく。