■建設機械向け油圧機器と各種ロボットが増加
※ROIC = EBIT(税引前利益+ 支払利息) ÷ 投下資本(有利子負債+ 自己資本)
受注高は、航空宇宙事業、車両事業、精密機械事業を中心に増加、売上高は、プラント・環境事業での減収があったものの、精密機械事業やガスタービン・機械事業、モーターサイクル&エンジン事業での増収により、全体として増収となった。
■部門別概況
受注高は、LPG運搬船やジェットフォイルの受注があったものの、オフショア作業船にかかる造船契約の合意解除により、潜水艦の受注があった前期に比べ322億円減少の47億円となった。
売上高は、潜水艦関連工事の減少などにより、前期に比べ75億円減収の956億円。営業損益は、貸倒引当金の追加計上や受注工事損失引当金の繰入れ増があった前期に比べ176億円改善して38億円の営業損失となった。
車両事業:車両事業を取り巻く経営環境は、国内については老朽化車両の更新需要が安定的に存在している。海外については、北米では注力市場であるニューヨーク地区で計画の一部見直しがあるものの新造・更新需要が増加しており、またアジアでは日本政府によるインフラ輸出促進に伴って新興国での需要が増加している。
受注高は、ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車やバングラデシュ向け都市高速鉄道車両などの大口案件を受注したことにより、国内向け地下鉄車両などを受注した前期に比べ985億円増加の2,571億円となった。
売上高は、北米やアジアなど海外向けが減少したものの、国内向けが増加したことにより、前期に比べ46億円増収の1,417億円。営業損益は、米国ロングアイランド鉄道向け車両案件での受注工事損失引当金の計上やN700系新幹線台車枠交換の費用負担などにより、前期に比べ159億円悪化して124億円の営業損失となった。
航空宇宙事業:航空宇宙事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては、厳しい防衛予算の中で一定程度の需要が存在している。民間航空機については旅客数の増加に伴って新造・更新需要が増加している。
受注高は、防衛省向けが増加したことに加え、民間航空機向け分担製造品が引き続き高水準で推移したことにより、前期に比べ1,373億円増加の3,744億円となった。
売上高は、民間航空機向け分担製造品が減少したものの、防衛省向けの増加などにより、前期に比べ2億円増収の3,302億円。営業利益は、民間航空機向け分担製造品の収益性低下などにより、前期に比べ41億円減益の209億円となった。
ガスタービン・機械事業:ガスタービン・機械事業を取り巻く経営環境は、航空分野では旅客数の増加に伴う民間航空機需要の増加により、航空エンジン需要も増加している。エネルギー・環境分野では、国内での分散型電源の潜在的需要は大きいものの、電力自由化を睨んで投資計画が若干遅れ気味になっている。他方で海外では環境・省エネルギー投資意欲の向上などにより、分散型電源の需要は増加している。
受注高は、国内向けガスエンジン発電所の減少などにより、前期に比べ122億円減少の2,481億円となった。
売上高は、航空エンジン分担製造品の増加などにより、前期に比べ245億円増収の2,664億円。営業利益は、増収があったものの、エネルギー事業での高採算案件の減少などにより、前期に比べ5億円減益の147億円となった。
プラント・環境事業:プラント・環境事業を取り巻く経営環境は、海外では原油価格の上昇により資源開発や石油・天然ガス関連投資が回復基調にあることに加え、アジアではエネルギーインフラ整備需要が継続している。国内ではごみ焼却プラントや産業機械において老朽化設備等の更新需要が継続している。
受注高は、海外案件が減少したものの、国内のごみ処理施設の建設及び運転管理業務が増加したことにより、前期に比べ50億円増加の1,001億円となった。
売上高は、海外向け化学プラントの工事量減少などにより、前期に比べ364億円減収の1,244億円。営業利益は、減収があったものの、受注工事損失引当金の繰入れ増があった前期に比べ3億円増益の29億円となった。
モーターサイクル&エンジン事業:モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、先進国向け二輪車では市場の緩やかな成長が持続しており、新興国向け二輪車では市場の底打ちの兆しが見えつつある。また、四輪車では主に北米において市場が安定した成長を続けており、汎用エンジン市場も堅調に推移している。
売上高は、新興国向け二輪車が減少したものの、先進国向け二輪車や四輪車、汎用エンジンの増加により、前期に比べ186億円増収の3,316億円。営業利益は、増収により前期に比べ35億円増益の152億円となった。
受注高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加により、前期に比べ402億円増加の2,071億円となった。
売上高は、建設機械市場向け油圧機器や各種ロボットの増加により、前期に比べ437億円増収の1,989億円。営業利益は、増収により前期に比べ85億円増益の216億円となった。
その他事業:売上高は、前期に比べ76億円増収の850億円。営業利益は、前期に比べ2億円減益の29億円となった。
■2018年度の見通し
2019年3月期の連結業績については、売上高は、精密機械・ロボット事業、エネルギー・環境プラント事業等を中心として増加が見込まれることから、前期比758億円増(前期比4.8%増)の1兆6,500億円となる見通し。利益面では、為替レートが前期に比べて円高で推移すると想定しているものの、精密機械・ロボット事業における売上の増加に伴う利益増加、前期大きな損失を計上した車両事業及び船舶海洋事業の回復等により、営業利益750億円(同34.1%増)、経常利益700億円(同61.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益470億円(同62.5%増)、またROICは8.0%、ROEは9.7%となる見通し。受注高は前期比180億円減(同1.1%減)の1兆5,900億円となる見通し。
なお、業績見通しにおける為替レートは、1ドル=107円、1ユーロ=130円を前提としている。
(注) 2019年3月期から、「航空宇宙システム」、「エネルギー・環境プラント」、「精密機械・ロボット」、「船舶海洋」、「車両」、「モーターサイクル&エンジン」、及び「その他」に報告セグメントを変更している。