利益面は、ジョイ・グローバル社の買収に係る一時費用が発生したものの、各地で売上げが増加したことにより、営業利益は2,715 億円(前期比56.0%増)、売上高営業利益率は前期を1.2 ポイント上回る10.9%となった。税引前当期純利益は、投資有価証券の売却益もあり2,918 億円(前期比75.3%増)、株主に帰属する当期純利益は1,964 億円(前期比73.2%増)となった。
■部門別の概況
【建設機械・車両】
建設機械・車両部門の売上高は2兆2,809億円(前期比44.7%増)、セグメント利益は2,759億円(同70.7%増)となった。
オフロード法2014年基準(米国ではTier4Final)に適合する中型油圧ショベル「PC200-11」と中型ICT油圧ショベル「PC200i-11」を発売した。窒素酸化物等の排出を大幅に低減しながら生産性と燃費性能の両方で高いレベルを達成するなど、環境・安全・ICTに磨きをかけた最新機種を市場に導入し、販売拡大に努めた。
また、2015年2月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を着実に推進し、これまでに5,000を超える現場に導入した。同事業については昨年10月、㈱ランドログを設立し、建設生産プロセス全体を一元管理して最適化するためのオープンな新プラットフォーム「LANDLOG」の運用を開始した。また、同じく12月には、AIや画像解析の分野で高い技術力を持つ米国の大手半導体メーカーNVIDIA社と協業していくことを発表した。コマツはオープンイノベーションで様々な分野におけるパートナーシップを構築し、より安全で生産性の高い「未来の現場」の実現を加速させていく。
■地域別の概況
<米州> 米国およびカナダは、インフラおよびエネルギー関連向けを中心に一般建機の需要が増加した。中南米は、アルゼンチンやメキシコを中心に一般建機の需要が増加した。さらに、コマツマイニングの新規連結の効果もあり、米州での売上げは前期を大幅に上回った。
<欧州・CIS> 欧州では、主要市場であるドイツや北欧を中心に需要が堅調であり、売上げは前期を大幅に上回った。CISでは、石炭や金鉱山を中心に鉱山向け需要が引き続き好調で、売上げは前期を大幅に上回った。
<アジア・オセアニア> アジアでは、石炭価格の上昇に伴い、最大市場であるインドネシアで鉱山機械の需要が増加したことなどから、売上げは前期を大幅に上回った。
オセアニアでは、鉱山機械の需要が増加したことなどに加え、コマツマイニングの新規連結の効果もあり、売上げは前期を大幅に上回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、原油安を受けた各国政府の緊縮財政の影響はあったものの、一部地域での需要が回復傾向にあることなどにより、売上げは前期を上回った。アフリカでは、南アフリカでの鉱山向け需要が増加したことなどに加え、コマツマイニングの新規連結の効果もあり、売上げは前期を大幅に上回った。
【リテールファイナンス】
リテールファイナンス部門では、北米での資産の増加などに伴い、売上高は603億円(前期比22.8%増)となった。セグメント利益は、中国での引当金計上の影響がなくなったことなどに伴い、129億円(同191.1%増)となった。
【産業機械他】
産業機械他部門では、自動車業界向けの工作機械の販売増加などがあった一方、鍛圧機械やワイヤーソーおよび防衛省向け製品の販売減少などがあったことにより、売上高は1,854億円(前期比2.9%減)となった。セグメント利益は144億円(前期比16.0%増)となった。
コマツ産機では、今年3月に新型サーボプレス「H2FM630」を発売した。新開発の「水冷式高トルクサーボモーター」や「大容量キャパシタ蓄電システム」を搭載し、従来機に比べて大幅な生産性・環境性の向上を実現している。同社が培ってきた技術・ノウハウと先進のICT技術を投入した最新機種を市場に導入し、販売拡大に努めている。
<2018年度の見通し>
建設機械・車両部門では、戦略市場※を中心に引き続き需要が堅調に推移することが見込まれる一方、円高の影響により、売上げはほぼ横ばいとなる見通し。利益については、円高の影響が見込まれるものの、2017年4月に買収したジョイ・グローバル社(新社名:「コマツマイニング㈱)」)の買収に伴う一時費用の影響が少なくなることなどから、増益となる見通し。
リテールファイナンス部門では、円高の影響などが見込まれるため、減収減益となる見通し。産業機械他部門では、鍛圧機械、工作機械の販売量増加が見込まれるため、増収増益となる見通し。
なお、通しにおける為替レートは、1米ドル=100円、1ユーロ=123円、1人民元=15.8円を前提としている。