■住宅向けフィルム型リチウムイオン電池の生産能力を増強
積水化学工業は、高安全・長寿命・高容量を同時に実現でき、競争力のあるフィルム型LiBの事業を次代の成長を担う戦略事業として位置付け、2017年にまず住宅向け製品を発売、事業を開始した。積水化学工業製品は、京セラが販売する住宅用蓄電システムを構成する電池ユニットに搭載され、同システムをセキスイハイム商品に採用している。電池ユニットは、大容量かつコンパクトなサイズで、室内設置も可能なことから長寿命が期待できるなどの特長により、顧客から好評だという。
また、2019年には、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の適用が終了するPV(太陽光発電システム)搭載邸が生じ始め、以降増加が見込まれることから、PVで発電した電気を有効活用するために蓄電池の需要が拡大すると予想されている。積水化学工業グループが過去に販売したセキスイハイムにおいても、180,126棟(2016年12月末現在)のPV搭載の実績があり、これらの顧客にFIT適用終了後もPVで発電した電気を有効活用してもらう手段を提案することが重要と考えている。加えて、国内で災害が相次いでいることを背景に、防災・減災意識が高まり、エネルギーの自給自足、安心・安全に貢献する蓄電池に高い関心が寄せられている。
今回決定した住宅向けフィルム型LiB単電池の生産ライン増設とあわせて、京セラとの連携により、住宅用蓄電システムの製品バリエーションの拡大を検討するとともに、新築向けだけでなく、2019年以降FIT適用が終了するPV搭載邸の顧客に向けた拡販も進め、拡大が予想される住宅向け蓄電池需要の獲得を図る。また、住宅向けフィルム型LiB単電池生産機能のエナックス中部事業所への集約とあわせて、つくば事業所では、車載向けフィルム型LiBの開発体制を整備・強化していく。
<増設する生産設備の概要>
生産能力:約1万棟分(増設後のフィルム型LiB生産能力合計)
稼動予定:2019年度下期(2019年10月~2020年3月)
※生産ライン新設とあわせて、積水化学工業つくば事業所とエナックス中部事業所に分散していた生産工程をエナックス中部事業所に集約し、一貫生産体制を構築して生産効率の向上を図る。