三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は4月18日、インドネシアの紙・パルプ製造大手APRILグループ(Asia Pacific Resources International Holdings Ltd.)傘下の会社が同国のスマトラ島で運営する紙・パルプ工場向けに、蒸気タービン発電設備を受注したと発表した。出力は9万7,000kWで、自家発電電力に加え紙・パルプ製造プロセスに発生蒸気の一部を供給する。三菱商事を通じて納入し、2019年の運転開始を予定している。
この紙・パルプ工場は、リアウ(Riau)州にあるケリンチ(Kerinci)工場で、PT.Riau Andalan Pulp&Paper(RAPP)が同工場と原料調達用の植林地を運営している。製造プロセスにも低圧蒸気を供給することから、蒸気タービンには発電用として大気圧以上の高圧蒸気と同時に低圧蒸気も併給できる背圧タービンを採用する。
発電設備は、ボイラー、背圧タービン、発電機などを中心に構成。MHPSの供給範囲は蒸気タービンおよび発電機からなる主機、オイルユニット、計装制御関連機器などで、そのほか技術者を派遣して機器据え付け・試運転の指導を手掛ける。MHPSで設計した蒸気タービンの製造は、中国のパートナーである青島捷能汽輪機集団股份有限公司(Qingdao Jieneng Steam turbine Group Co.,Ltd.:青島タービン)が担当する。また、MHPSに加え、MHPSと青島タービンによる中国合弁会社の三菱日立電力系統捷能(青島)汽輪機有限公司が、徹底した品質管理を行う。(MHPSグローバルネットワーク)
APRIL社グループは、1993年にケリンチ工場を設立。1995年にパルプの生産、1998年に紙の生産を開始した。MHPSは同工場にこれまで、3セットの蒸気タービン発電設備を納入。また、APRIL社グループが中国山東省で運営する日照(Rizhao)紙・パルプ工場にも蒸気タービン発電設備を累計3セット納入するなど、良好な取引関係を築いてきた。今回の受注も、これまでの実績と既存納入設備の安定した稼働状況および信頼性が高く評価されたことによるもの。
MHPSは、産業用自家発・火力発電用蒸気タービン、原子力発電用蒸気タービンから、地熱発電用蒸気タービンまで幅広いラインアップとトータルソリューションを提供できることを強みとしている。今後も、市場の多種多様なニーズを的確に掘り起こすことで、電力の安定供給をサポートし、各国・地域の経済・産業発展に貢献していく。