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国際協力銀行(JBIC)、ベトナムのギソン2石炭火力発電事業にPF貸付契約

■丸紅など日本企業のIPPプロジェクトを支援

 国際協力銀行(JBIC)は4月13日、丸紅などが出資するベトナム法人Nghi Son 2 Power Limited Liability Company(以下、NS2PC)との間で、同国ギソン2石炭火力発電事業を対象として、融資金額約560百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結したと発表した。

 融資は、韓国輸出入銀行(以下、KEXIM)、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、新生銀行、シンガポール法人Oversea-Chinese Banking Corporation Limited、シンガポール法人DBS Bank Limited及びマレーシア法人Malayan Banking Berhadとの協調融資で、協調融資総額は約1,869百万米ドル。民間金融機関の融資部分に対しては、JBIC及びKEXIMがポリティカル・リスクに関する保証を供与する。

 プロジェクトは、NS2PCがベトナム北部タインホア省ギソン地区において、発電容量1,200MW(600MW×2基)の石炭火力発電所を建設・所有・操業し、25年間に亘りベトナム国営電力公社(Vietnam Electricity:EVN)に対して売電するもの。

 融資は、日本企業が出資者として事業参画し、日本の高い技術を用いて長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援するもので、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献する。

 日本政府は、2017年5月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での「事業投資」の拡大の推進を表明。加えて、同年10月に発表した「海外展開戦略(電力)」においても、日本企業が実施する海外発電事業を政策の重点分野と位置付け、JBICによるファイナンス支援の効果的活用等による支援を行う旨を表明している。今回の貸付契約は、これらの政府の施策にも合致するもの。

 プロジェクトは、JBICが2003年に貸付契約を締結したフーミー3ガス火力発電プロジェクト以来、約15年振りに日本企業が出資者として事業参画するベトナムにおけるIPP*2プロジェクト。2017年6月に発出された日越共同声明*3においても、エネルギー分野における協力強化の一環として取り上げられた。

 ベトナムは、堅調な経済成長を背景に電力需要が急増する一方、必要な発電所建設が追いつかず、電力需給が逼迫している状況であり、電力不足解消は喫緊の課題になっている。ベトナム政府は、こうした状況を踏まえ、電力供給能力の拡充を国家の優先課題と位置付けており、自国資源の有効活用も踏まえた発電所の建設を推進し電源開発を迅速に進めるべく、2011年策定の第7次電源開発計画を2016年に改訂した。

 今回の貸付契約は、同国における電力供給能力の拡充を盛り込んだ改定後の同計画に則ったもの。プロジェクトは、2020年代以降のベースロード電源として安定した電力供給を通じ、ベトナムの経済発展にも貢献することが期待される。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していく

注釈

*1:プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームのこと。

*2:IPP(Independent Power Producer)とは、自前で発電設備を建設・運営し、電力を販売する独立系発電事業者のこと。

*3:2017年6月6日付発出「日本とベトナムの広範な戦略パートナーシップの深化に係る共同声明」を指す。

 ニュースリリース

 

 

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