日本電産は4月9日、家電・産業事業本部産業ソリューション事業(Nidec Industrial Solutions、以下 NIS)に属する同社子会社、日本電産ASI(Nidec ASI S.p.A.、以下 NASI、イタリア国ミラノ市)が、イタリアの西リグリア海港湾システム管理公社との間で、ジェノバ港における「ドック・船舶間電力供給システム」の設計・設置の大型案件(契約額800万ユーロ:約10億4,000万円)を受注し、契約を締結したと発表した。
受注したシステムは、ドックと国内電力網を接続し、ドックから係留中の船舶に電力を供給する最新式電力供給システムで、汚染物質排出及び騒音の源となる係留中の船舶エンジンによる発電を不要とする。
今回のプロジェクトでNISは2台の6メガボルト・アンペアの静的周波数変換システム(合計12メガボルト・アンペア)と共に、スウィッチボードや低圧・中圧変圧器等の付随部品・ケーブル工事を同時に受注した。このシステムは船舶毎に相違する電圧や周波数に適宜対応することを可能にし、ジェノバ港の今後10年間の需要に応える。
NISの持つこの技術は市場での評価も高いとされ、今回の公開入札においても港湾環境汚染対策・エネルギー節減の両面で最高の評価を受けて受注に結びつけたもの。同システムの導入によりジェノバ港は2003年EU環境勧告に対応するだけでなく、2025年導入予定の新EU港湾環境指令をクリアし、SOx・NOx・CO2やPMの排出量が軽減され周辺住民の健康に資するうえ、騒音についても大幅な軽減を図ることが可能という。
NASIは、今回の受注と同様のシステムをイタリア国内外の港湾で多数納入している。イタリアでは、リボルノ港・ムッジャーノ港・ラスペツィア港・タラント港(イタリア海軍専用港)等で実績を重ね、国外ではツーロン港(フランス)・ロサンゼルス港(米国)・ジュノー港(アラスカ)やイェーテボリ港(スウェーデン)で環境汚染物質排出量の大幅な削減に貢献してきた。NISは今後とも環境汚染対策に資する製品・システムを開発・納入し、全世界レベルでの環境問題対策の一助となることを目指す。