■業界全体の運営状況
2017 年、農業機械の工業付加価値の伸び率は9.1%で、前年より1.4%の増加である。農業機械工業の12 の従属業界(中:子行業)で、一定規模以上の企業2,429 社の主な事業収入は4,291.35 億元(約7兆3,000億円)で、前年より6.15%の伸びである。主な事業収入の伸び幅は2016 年の5.80%より高い。伸び率の高い従属業界は、それぞれ漁業機械が54.87%の伸び、林業機械が44.49%の伸び、牧畜機械が26.62%の伸びである。(1元は約17円)(3,917字)
(2017年の運営データと分析、中国農機工業網:中国農業機械工業会の2018年2月2日発表より)
業界の市場に対する判断が比較的正確であることから、多くの企業は力強く経営をコントロールし、リスク予防を行っており、農業機械工業は、この1 年間大きな変動はなく穏やかな伸び幅を示している。
2017 年、農業機械12 の従属業界は、すべてプラス成長を達成しており、国が全面的に農業機械化を強力に推進したことで、農業機械工業の持続的な健全な発展を促している。業界全体で達成した利益は243.12 億元で、伸び幅は8.10%である、利益の伸び幅は売上高よりも高く、業界の期待をも上回っている。伸び大きい製品は、牧畜機械の33.74%、漁業機械の34.70%である、トラクタの利益総額は23.08%の伸びである。
2017 年に達成した業界の固定資産は1,034.24 億元で、同比10.05%の減少である。投資の伸び率は、2012 年以来下落が続いており、農業機械工業は、従来の急速拡大から品質の追求に向かって転換しており、より多くの資金が、製造レベルの向上と製造能力のグレードアップための設備に使われている。
2017 年の投資プロジェクトは1,428 件で、暦年で最も多い1年であり、同年の投資プロジェクトの伸び率は10.19%に達している。これは数年にわたる投資活動の成果であり、業界の持続的成長を維持するための支援と保障になっている。
2017 年の農業機械輸出総額は284.4 億元で、累計同比9.27%の伸びである。特に目立っているのは、飼料機械の輸出が同比54.65%の伸び、トラクタの輸出が同比47.08%の伸びていることである。しかし、過去に輸出台数が大きかった田植機、水稲コンバイン等の機械は減少している。我が国のEU やASEAN 向け農業機械の輸出は減少しており、アフリカや中央アジア向け農業機械の輸出の伸びは増加している。
2017 年、農業機械工業の産業グレードアップ効果は著しく、多くの経営指標が上昇傾向にあった。業界の総資産は5.30%伸び、売掛金は同比1.11%減少、資産負債比率は46.53%(2016 年は46.73%)で、負債比率は更に減少している。業界の欠損額は7.26%減少し、小型トウモロコシ機、小型トラクタ、小型種まき機等の製品は引続き過剰生産能力を圧縮しており、劣勢企業を淘汰している。
業界が低成長の時、直面する経営圧力も増大する、最も目立つのは経営コストの増大である。2017 年の業界の主な事業収入百元当たりのコスト費用は86.78 元で、前年と比べ多少増加している。在庫圧縮と製品同質化競争の激化により、一部の製品販売価格が下落して、企業の利益に影響し、業界の経営利益率は5.71%となり、前年の6.08%より下回っている。業界の欠損企業は8.93%を占め、前年と比べ欠損企業は57 社増えている。
2017 年の業界経営コストが上昇した主な要因は、次の四つの方面がある、①鋼材などの原材料の値上がり、②コンバインなどの大型農業機械の幅、高さ超過による整備で運搬コストの伸びが40%を超えている、③環境保護、汚染管理が企業の生産制限をもたらし、鋳物、鍛造品が値上がり、④ディゼルエンジン国三排出基準(中:柴油機国三排放標準)のグレードアップによりコストの増大をもたらしている。
■主な製品:
国家統計局は、2017 年主要農業機械製品統計結果を公布した。穀物収穫機は12.58%減少、トウモロコシ収穫機は11.44%減少、収穫後処理機は5.52%伸び、農産物一次加工機械は10.4%伸び、飼料生産専用設備は5.73%伸び、綿花加工機は4.82%伸びている。
大型トラクタの生産台数は51,052 台で、同比18.93%減少、中型トラクタの生産台数は367,210 台で、同比11.86%の減少、小型トラクタの生産台数は996,176 台で、同比13.24%の減少である。
中国農業機械工業会企業管理委員会の統計によると、業界中堅企業の大中小型トラクタの生産台数は22.7 万台で、同比25.75%の減少、小型四輪トラクタの生産台数は17.7 万台で、同比18.67%の減少、ハンドトラクタの生産台数は10.87%で、同比29.45%の減少である。
トラクタの生産台数は引続き下落しているが、製品の大型化は依然続いている。2017 年、伸びの最も速いのは150 馬力の大型トラクタである、深松作業(低土まで掘り返す作業の意⇒深耕)の補助金による刺激、ロボットアームによる高所作業の追求、土地の回転を速めるなどの要素は、ハイパワートラクタの需要の更なる伸びをもたらしている。
年末の締めで、業界中堅企業の大中トラクタ在庫台数は20.51%増加している、これは、2018 年の大中トラクタ市場に好転があると多くの企業が予測している現れである。中国農業機械工業会企業管理委員会の統計によると、中堅企業の収穫機総生産台数は29.48%減少している。そのうち、中堅企業の自走式トウモロコシ収穫機の生産台数は1.8 万台で、前年と比べ48.64%減少している。2017 年、全国で販売したトウモロコシ収穫機は3.9 万台で、そのうち、在庫品は54%を占めている、トウモロコシ収穫機は(ディゼルエンジンの)国三排出基準のグレードアップによる影響を最も大きく受けており、多くの企業は在庫消化を業務の重点に置き、良い効果を得ている。
自走式収穫機の中で四列ピッキング収穫機の生産台数は56%を占めており、依然として市場の主力機モデルである。黄河淮海地区のトウモロコシ直接穀物収穫技術(中:玉米籽粒直収技術)難関の絶え間ない解決とユーザー需要の伸びにより、フィード量(中:喂入量)が7 ㎏と8 ㎏の垂直軸フローグレイン収穫機(中:縦軸流谷物収獲機)は急速に伸びている。
クローラ式水稲収穫機は、数年の成長を経て減少し始めており、中国農業機械工業会企業管理委員会の統計によると、2017 年、中堅企業の生産した水稲収穫機は7.9 万台で、同比24.29%の減少である。水稲収穫機のフィード量は明らかに増大しており、フィード量5 ㎏製品の同比は26.92%の伸びで、5 ㎏水稲収穫機の総生産台数の72.86%を占めており、市場の主力製品となっている。
一方で、南方の丘陵山間地区に適応した、フィード量が1.5 ㎏より小さい簡易型水稲収穫機の伸びは非常に速い。クローラ式水稲収穫機制品のグレードアップは成果を収めている、垂直軸フローグレインのクローラ式水稲収穫機(中:縦軸流的履帯水稲収割機)は、水稲の収穫と同時に、小麦の収穫も出来、また、収穫台を交換することでトウモロコシも収穫でき、製品の性能/価格比を大きく向上させており、ユーザーも肯定している。
市場競争において、小麦収穫機に続き、クローラ機産業の集中度は大幅に引き上げられており、業界の上位四強の生産台数は85%を超えている、これは、業界の健全な発展に有利である。
中国農業機械工業会企業管理委員会の統計によると、中堅企業のホイール式小麦収穫機の生産台数は3.3 万台で、同比24.04%の減少である。現在、フィード量4 ㎏以下の小麦機は、基本的に市場から退出している。7kg と8kg フィード量の小麦機の伸び幅は非常に大きい。
数年の沈滞を経て、2017 年は小麦ホイール式刈取機技術の進歩が最も大きい1 年であり、製品更新の速い1 年でもある。無段変速走行システム技術は、ホイール式刈取機を更に操作し易くしている。5 ㎏フィード量のホイール式小麦刈取機軽量化の進歩は、その適応力を大きく向上させたことで、大幅に伸びている。8kg フィード量の垂直軸フローホイール式刈取機(中:縦軸流輪式収割機)は成熟製品となり、市場は特に良好で、458.69%伸びている。
小麦収穫機はすでに技術、製品、サービスの成熟期に入っている。製品品質は特に優良で、フィード量が大きく、収穫効率が高く、加えて社会市場保有率が高くなったことにより、小麦機の越境作業が減り、一台当たりの作業面積は平均で約15%減少し、機械操縦者(中:機手)の収益は減っている。
穀物乾燥機の年間生産台数は2.8 万台である。現在、穀物乾燥機は10 トンから20 トンの製品が60%を占めており、合作社が乾燥機の主な買主である。2017 年、穀物乾燥機の伸びが大きい地区は、江蘇省、換気蕭、湖南省水稲生産区、山東省、河南省、河北省等の食糧大省である、穀物乾燥機は初期段階にあり、市場の潜在力は大きい。
中国農業機械工業会企業管理委員会の統計によると、業界の中堅企業の梱包プレス(中:圧梱機)の生産台数は、同比13.94%の減少、田植機は7.6 万台で、同比19.79%の伸び、青い飼料収穫機は40,00 台で、同比20%の伸びである。
以上