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日本産業機械工業会、2018年度受注見通しは前年度比5.4%増の5兆6,825億円

 日本産業機械工業会は2月28日、2018(平成30)年度の産業機械受注見通しを発表した。それによると、18年度の内需は、民需の緩やかな回復が持続するとみて、前年度比2.1%増の3兆7,729億円、外需は同12.4%増の1兆9,096億円、内外総合では、同5.4%増の5兆6,825億円と予測された。

■2018(平成30)年度 産業機械の受注見通し

 2017(平成29)年度のわが国経済は、10~12月期のGDP成長率が8四半期連続のプラス成長となるなど、緩やかな回復が続いた。しかし、企業収益が改善した一方で個人消費の伸びは力強さが見られるまでには至っていない。そのような情勢の下、2017(平成29)年度と2018(平成30)年度の産業機械(当工業会取扱い)の受注見通しを以下の通り策定した。

■(平成29年度 2017年度)

 内需は、民需・官公需ともに回復が続いていることから、対前年度比6.8%増の3兆6,935億円と見込んだ。民需は、食品、繊維、紙・パルプ、窯業土石、鉄鋼、はん用・生産用、業務用機械、情報通信機械、自動車、建設、運輸・郵便が増加していることから、前年度実績を上回ると見込んだ。官公需は、化学機械、ポンプ、送風機、運搬機械、その他機械(ごみ処理装置)の増加により、前年度実績を上回ると見込んだ。

 外需は、アジア、アフリカ、オセアニアが増加していることから、対前年度比3.8%増の1兆6,982億円と見込んだ。

 この結果、内外総合では、対前年度比5.8%増の5兆3,918億円と見込んだ。

■(平成30年度 2018年度)

 内需は、民需の緩やかな回復が持続するとみて、対前年度比2.1%増の3兆7,729億円と見込んだ。民需については、省エネ・省力化投資や、IoT、ビッグデータ、AIなどの第四次産業革命を活用するための投資が、液晶・半導体、自動車関連やそれらの関連産業の他、ネット通販拡大等を背景にした流通・物流分野など、幅広い業種で継続されていくものと見込んだ。また、低炭素社会構築に貢献する再生可能エネルギーの導入や高効率発電設備への更新等も、引き続き緩やかに増加していくものと見込んだ。

 なお、官公需については、ウェイトの大きいごみ処理装置の更新需要が高水準を維持するが一服感が出るとみて、前年度を若干下回るものと見込んだ。

 外需は、対前年度比12.4%増の1兆9,096億円と見込んだ。オイル&ガス関連の受注環境は改善しつつあり、大型プロジェクトの再開に加えて、下流部門などの中小規模プロジェクトについても増加していくものと見込んだ。

 また、低炭素化への潮流が強まる中、エネルギー効率向上や環境負荷低減など環境性能に優れた日本の産業機械のニーズはさらに広がっていくものと見込んだ。さらに、わが国製造業の海外工場の能力増強の他、人件費高騰等を背景にした製造現場の自動化・効率化等に関する需要も増加していくものと見込んだ。

 この結果、内外総合では、対前年度比5.4%増の5兆6,825億円と見込んだ。

■機種別の受注見通し

1.ボイラ・原動機

 2017 年度:内需は、食品、電力の増加により、対前年度比105.0%の1兆1,766億円と見込んだ。外需は、アジア、北アメリカの減少により、対前年度比75.0%の4,555億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比94.5%の1兆6,321億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、石炭火力の計画見直し等による影響が懸念されるものの、バイオマス燃料使用の自家発電設備の需要は高水準を維持し、また、電力各社の既存設備の高効率化等の更新需要が続くとみて、対前年度比105.0%の1兆2,354億円と見込んだ。外需は、低炭素型のエネルギーシステムの需要が高まる中、石炭から天然ガス等への燃料転換を始めとした高効率の火力発電設備への更新需要等が増加し、対前年度比110.0%の5,010億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比106.4%の1兆7,365億円と見込んだ。

2.鉱山機械

 2017 年度:内需は、窯業土石、鉄鋼、鉱業の増加により、対前年度比110.0%の215億円と見込んだ。外需は、アジアの増加に加え、前年度に過去の受注のキャンセル等の計上があった反動もあり、対前年度比700.0%の45億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比129.1%の261億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、オリンピック関連設備の整備やインフラ整備等に伴う需要増が続き、対前年度比110.0%の237億円と見込んだ。外需は、インフラ整備や資源開発等に伴う需要が堅調に推移していくものの、前年度に大型設備を受注した反動により、対前年度比90.0%の41億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比106.5%の278億円と見込んだ。

3.化学機械(冷凍機械、環境装置のうち大気汚染防止装置と水質汚濁防止装置を含む)

 2017 年度:内需は、食品、はん用・生産用、電気機械、官公需の増加により、対前年度比105.0%の8,892億円と見込んだ。外需は、アジア、アフリカ、オセアニアの増加により、対前年度比130.0%の4,066億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比111.7%の1兆2,959億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、石油や化学分野の大型投資は見込みがたいものの、更新及びメンテナンス需要、高機能品の生産ライン増強、省エネ対策等は底堅く推移し、また、バイオマス発電用の大気汚染防止装置や官公需の水質汚濁防止装置が緩やかに増加し、対前年度比102.5%の9,115億円と見込んだ。外需は、石油精製、石油化学、化学分野の投資の緩やかな回復が続き、また、LNG関連の投資計画が動き始めるとみて、対前年度比125.0%の5,083億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比109.6%の1兆4,198億円と見込んだ。

4.タンク

 2017 年度:内需は、電力の減少により、対前年度比50.0%の162億円と見込んだ。外需は、アジアの増加により、対前年度比700.0%の108億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比79.4%の270億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、LNG タンク新設等の増加は見込みがたいものの、既存設備の改修工事等が底堅く推移し、対前年度比102.5%の166億円と見込んだ。外需は、LNG 受入基地の整備計画が動きだしていることから、対前年度比230.0%の248億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比153.4%の415億円と見込んだ。

5.プラスチック加工機械

 2017 年度:内需は、自動車、その他製造業の増加により、対前年度比1 2 5 . 0 % の1,133億円と見込んだ。外需は、アジア、ヨーロッパ、北アメリカの増加により、対前年度比145.0%の1,693億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比136.3%の2,827億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、自動車関連や容器類など日用品関連の需要が高水準で推移し、その他の業種からも更新需要が緩やかに増加していくとみて、対前年度比102.5%の1,162億円と見込んだ。外需は、自動車、スマートフォン、日用品関連の需要が増加し、対前年度比105.0%の1,778億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比104.0%の2,940億円と見込んだ。

6.ポンプ

 2017 年度:内需は、非鉄金属、情報通信機械、建設、官公需、代理店の増加により、対前年度比105.0%の2,799億円と見込んだ。外需は、アジアの増加により、対前年度比110.0%の893億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比106.2%の3,693億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、工場設備や老朽インフラの更新需要の増加の他、首都圏を中心としたオリンピック関連設備の整備の活発化等により、対前年度比105.0%の2,939億円と見込んだ。外需は、オイル&ガス関連の需要の緩やかな回復に加え、発電・化学プラントや水インフラ関連の需要も増加していくとみて、対前年度比105.0%の938億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比105.0%の3,878億円と見込んだ。

7.圧縮機

 2017 年度:内需は、鉄鋼、はん用・生産用、代理店の増加により、対前年度比110.0%の1,432億円と見込んだ。外需は、アジア、北アメリカ、アフリカの増加により、対前年度比140.0%の1,348億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比122.8%の2,780億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、生産性向上に向けた高効率な省エネ製品等への更新需要による増加が続き、対前年度比105.0%の1,503億円と見込んだ。外需は、オイル&ガス関連の設備投資の緩やかな回復や、化学プラント等での更新需要の増加により、対前年度比115.0%の1,550億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比109.8%の3,054億円と見込んだ。

8.送風機

 2017 年度:内需は、自動車、電力、郵便・運輸、官公需、代理店の増加により、対前年度比110.0%の275億円と見込んだ。外需は、アジアの減少により、対前年度比85.0%の17億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比108.1%の292億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、鉄鋼を始めとする更新需要が引き続き増加し、対前年度比105.0%の268億円と見込んだ。外需は、発電プラントや製鉄非鉄プラント等での需要増により、対前年度比105.0%の18億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比105.0%の307億円と見込んだ。

9.運搬機械

 2017 年度:内需は、繊維、はん用・生産用、情報通信機械、自動車、建設、運輸・郵便、卸売・小売、官公需の増加により、対前年度比105.0%の2,626億円と見込んだ。外需は、アジア、アフリカの増加により、対前年度比150.0%の1,970億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比120.5%の4,596億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、工場や物流センターの省力化・自動化システム等の需要の他、港湾・高炉・バイオマス発電のクレーン需要、都市開発等での機械式駐車場の需要増により、対前年度比110.0%の2,888億円と見込んだ。外需は、半導体や自動車関連、流通業界向けの物流関連機器、港湾設備、発電プラント等での産業用クレーン等の需要が引き続き増加し、対前年度比105.0 % の2,068億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比107.9%の4,957億円と見込んだ。

10.変速機

 2017 年度:内需は、電力が減少しているものの、情報通信機械が増加していることから、受注金額としては前年度並みの対前年度比100.0%の453億円と見込んだ。外需は、アジア、ヨーロッパ、北アメリカの増加により、対前年度比105.0%の86億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比100.8%の540億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、液晶・半導体製造設備や物流設備での需要増が続き、対前年度比102.5%の464億円と見込んだ。外需は、物流関連やFA関連等での需要増により、対前年度比105.0%の91億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比102.9%の556億円と見込んだ。

11.金属加工機械(製鉄機械)

 2017 年度:内需は、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、自動車の増加により、対前年度比145.0%の980億円と見込んだ。外需は、アジア、ヨーロッパ、北アメリカの増加により、対前年度比120.0%の612億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比134.2%の1,593億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、先端素材の生産能力の増強や老朽設備の更新需要が増加するとみて、対前年度比105.0%の1,029億円と見込んだ。外需は、高級鋼板の生産拠点の整備等に伴う需要が増加していくとみて、対前年度比105.0%の643億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比105.0%の1,672億円と見込んだ。

12.その他産業機械(業務用洗濯機、メカニカルシール等を含むが、中核をなすのは官公需向けごみ処理装置である。)

 2017 年度:内需は、官公需向け都市ごみ処理装置、災害廃棄物の処理装置の増加により、対前年度比110.0%の6,196億円と見込んだ。外需は、前年度に都市ごみ処理装置や事業系廃棄物処理装置を複数受注した反動もあって、アジアが減少しており、対前年度比70.0%の1,584億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比98.5%の7,780億円と見込んだ。

 2018 年度:内需は、官公需向け都市ごみ処理装置の更新需要が続くものの、前年度に比べると発注量としては下回るとみて、対前年度比90.0%の5,577億円と見込んだ。外需は、新興国での廃棄物の埋立処理場の逼迫や、廃棄物発電の事業化に関するニーズの高まりなどから、都市ごみ処理装置の需要は緩やかに増加するとみて、対前年度比102.5%の1,623億円と見込んだ。内外総合では、対前年度比92.5%の7,200億円と見込んだ。

 産業機械機種別受注見通し

 

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