■総出荷金額(建機工)は19%増の2兆5,513億円
建設機械の世界需要が回復しており、2018年も引き続き高水準を維持する見通し。日本企業では2017年度第3四半期決算、海外企業では2017年通期業績が発表される中、一部企業では2018年・年度の業績は、ポジティブな見方が多い。米キャタピラー(CAT)が先に発表した2018年1月の機械小売統計は全世界で34%増、アジア/パシフィックは51%増、EAME(欧州・アフリカ・中東)は31%増、中南米49%増、北米23%増となった。2017年7月に2012年11月以来4地域すべてがプラスとなった後、7カ月連続で4地域がプラス。1月の中国油圧ショベル販売は、前年比135%増(日立建機調べ181%増)と高水準が継続中で、コマツが集計しているKOMTRAXでみる中国における機械稼働率は前年比46.6%増の118.1(前年同期:80.5)となった。2月26日から始まる春節明け商戦、特に3~5月の結果は注目されるが、一部で機械の値上げ機運はあるものの、数量ベースで通期10%以上の増加は固いと見られている。
また、2月に入って決算発表が相次ぐ欧米建機メーカーが発表している2018年Outlookにみる世界需要見通しは、一部に2018年後半における景気減速懸念はあるものの、総じて10%程度の増加を見込んでいる。一帯一路政策の中国、大規模なインフラ投資を打ち出しているトランプ政権の米国、ミニ・小型建機を主体にリーマンショック以前の過去最高水準に戻りつつある欧州、これに連動し力を取り戻したインドネシアを主とする東南アジア市場、鈍足ながら需要の出てきたインドなど、2016年を底に回復している世界の鉱山機械(マイニング)、その他農業機械、産業車両も主力市場の統計を見る限り堅調で、車両需要は確実に回復途上にある。
最近発表された2017年(1~12月)の国内統計(現地生産分は除く)を経済産業省の機械統計、日本建設機械工業会の出荷額統計、財務省の貿易統計を整理してみた。
<生産統計>
経済産業省機械統計によると、2017年の生産金額は前年比11.1%増の1兆6,230億円、生産数量は同7.7%増の38万3,842台となった。
トラクタ(ホイールローダ)の生産金額は同9.8%減の849億円、数量は同1.0%減の11,460台となった。
掘削機械の生産金額は同21.9%増の1兆1,605億円、数量は同16.9%増の17万9,004台となった。うち油圧ショベルの生産金額は同27.3%増の8,612億円、数量は同25.6%増の7万8,092台。ミニショベルの生産金額は同8.8%増の2,993億円、数量は10万の大台を越え、同11.0%増の10万912台となった。この5年間で増加した約3万台は殆ど輸出によるものである。
建設用クレーンの生産金額は同13.1%減の2,441億円、数量は同4.3%減の2万8,259台となった。
建設機械生産台数(2017年:機械統計)
建設機械生産金額(2017年:機械統計)
<出荷額統計>
日本建設機械工業会によると、2017年(1~12月)の出荷金額は前年比19.1%増の2兆5,513億円、うち国内は同5.6%増の1兆181億円、輸出は同30.0%増の1兆5,331億円となった。
出荷金額のうち、本体出荷金額は同18.1%増の2兆2,301億円。うち国内は同6.6%増の8,984億円、輸出は同27.5%増の1兆3,317億円。
本体機種別によると、油圧ショベルは、同25.1%増の9,070億円。国内は同19.2%増の2,902億円、輸出は同28.1%増の6,168億円。ミニショベルは同16.5%増の2,885億。国内は同9.5%増の833億円、輸出は同19.6%増の2,052億円。建設用クレーンは、同7.0%減の2,699億円。国内は同5.4%減の2,008億円、輸出は同10.2%減の691億円となった。
補給部品は同25.9%増の3,211億円、うち国内は0.8%減の1,196億円、輸出は同49.7%増の2,014億円だった。
建設機械出荷金額(2017年:日本建設機械工業会)
建設機械国内出荷台数(2017年:日本建設機械工業会)
<貿易統計>
財務省の貿易統計によると、2017年(1~12月)の建設用・鉱山用機械輸出額は前年比18.3%増の1兆1,037億円。
地域別によると、アメリカ向けは前年比11.8%増の3,519億円、EU向けは同21.3%増の2,010億円、アジア向けは同19.4%増の2,808億円。この3地域で建設用・鉱山用機械全体の75%(2016年=76%)を占めた。アジア向けのうち、中国は同51.5%増の302億円、ASEAN向けは同16.0%増の1,372億円。
うち主力機種である油圧ショベル(新車)の金額は、同21.0%増の4,832億円、数量は同18.8%増の4万801台となった。主力仕向先では、台数・金額とも約33%を占める最大の輸出先である米国をはじめ、英国、オランダ、オーストラリア、インドネシア、ロシア、中国、インドネシアが金額・数量とも増加した。特にインドネシアの伸び率は、前年同期との比較では大きく、数量ではほぼ倍の407台(2016年:206台)、金額では3.6倍の162億円(2016年:44億円)となった。
中古車の金額は、同4.8%増の517億1,100万円、数量は同6.8%減の1万3,160台となった。金額・数量とも増加したのは、香港、バングラデシュ、中国、インドネシア。ベトナムとフィリピン向けは減少した。
ミニショベル(新車)の金額は、同24.3%増の872億9,800万円、数量は同23.5%増の3万2,317台。主力仕向け先は、いずれも増加しており、アメリカとオランダ向けは金額、数量とも2割以上伸びた。
中古車は同13.1%増の1,029億円、数量は同0.6%減の2万6,045台となった。主力仕向け先の香港向けは前年比37.5%増の531億円、台数は同16.5%増の9,407台となった。そのほか、バングラデシュ、インドネシアも高い伸びを示している。
2017年の建設用・鉱山用機械輸出実績(出所:財務省貿易統計)
油圧ショベル貿易統計(2017年:財務省)
ミニショベル貿易統計(2017年:財務省)