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年頭所感、日本陸用内燃機関協会 会長 奥田 克久

●年頭所感2018 一般社団法人 日本陸用内燃機関協会 会長 奥田 克久

 本田技研工業株式会社 執行役員 パワープロダクツ事業本部長

 新年あけましておめでとうございます。

 平成30年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、トランプ大統領就任以降の米国経済の堅調な回復に引張られる形で、欧州、中国、日本の輸出が伸び、これに続く新興国の経済が徐々に回復するという、正のスパイラル効果を世界中が享受した1年間でした。国内においてもアベノミクスの推進と衆議院選挙における自民党の躍進により安定した経済施策が継続され、景気動向指数は61か月連続でプラス成長を記録するなど、景気は堅調に推移した一年でした。一方で、米国政府の舵取り次第では経済施策が停滞するなどの変動のリスクもあることから、完全には楽観できない状況にあるのも事実です。

 さて、今年は平昌オリンピックの開催があり、2020年東京オリンピックに向けてインフラ整備が本格化するなど、国内経済活動にとってさらなる活性化が期待できることから、引き続き好調な景気の進捗を望みたいと思います。

 次に、昨年の当業界が扱う陸用エンジンの生産実績について見てみたいと思います。当協会では毎月の生産状況をホームページに公表しておりますが、平成29年1月から9月までの国内と海外を合わせた生産台数は、ディーゼルエンジンが136万台、ガソリンエンジンが963万台でこれにガスエンジンを加えた総生産台数は1,107万台となりました。この1,107万台を単純な比例計算で年間台数に換算すると1,475万台となります。これは前年実績である1,395万台を5.8%上回る増産となります。

 その内訳ですが、ディーゼルエンジンは国内生産が前年比114%と大きく伸張した結果、総生産台数は年換算して181万台となり、前年を10.4%上回る大きな増産となる見通しです。一方、ガソリンエンジンは国外生産が前年比106%と伸張した結果、総生産台数は同じく年換算で1,284万台となり、こちらも前年を5.1%上回る増産の見通しです。また、ガソリンエンジンの海外生産台数は年間1,000万台を初めて超えたものと推察しております。

 次に、協会の最重要活動として参画している国際内燃機関工業会、アルファベットで略してIICEMAといいますが、このIICEMAの環境対応活動についてご紹介します。私どもが手掛ける陸用エンジンは自動車用や二輪車用に次ぐ大きな市場を持っております。その陸用エンジンを扱う世界5地域9団体が連携して、排出ガス等の規制に関する国際調和を国際業界団体の立場から推進する取り組みを行っております。

 世界中の環境浄化に対する要求は、現状を是とすることなく常にその上の目標を目指すことを求め続けます。欧州では来年2019年より内燃機関の排気ガスに対する新たな規制(欧州Stage5)が発効します。この規制の特徴は長期的な健康被害につながる排気ガス中の微小粒子を、量だけでなく個数でも制限する点です。まだ計測方法などの技術的な検討が必要で、当協会としてもIICEMAを通じて関係各国との情報交換、意見提案などを行い、対応に取り組んで参りたいと考えております。

 これまで私どもが手掛けてきた高い信頼性を持つ陸用エンジンは、我が国の建設機械・農林業機械・発電機などの産業用機械の動力源として発展し、我が国のインフラに不可欠なものとして、環境対応をはじめとする様々な社会ニーズの変化に的確に応えることで成長を続けてまいりました。一方で、近年パワーソースの電池化、パワーユニットの電気化による新たな駆動装置が提案され、これまで内燃機関が寡占してきた作業機の分野にもこれらの駆動装置が適用されるようになりました。内燃機関は今後も作業機の駆動装置として電気式とは異なる特長を追及し、信頼性や耐久性に優れた駆動装置を提供していきたいと考えております。我々陸用エンジン業界は今後も我が国の産業の中核として、活力ある経済社会実現のため、その牽引役を果たしていかなければならないと確信しております。陸内協はこれらの会員の活動を支援する機関として、その責務をしっかりと果たし続けていく所存です。

 最後に、当陸用内燃機関協会は本年2018年5月1日をもちまして創立70周年を迎えます。このような長きにわたり協会としての役割を果たせてきたことは、ひとえに皆様のご支援の賜物と考えております。今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 本年が皆さま方にとりまして良い年でありますよう心からお祈り申し上げますとともに、ますますのご発展とご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上

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