■2018年のロボット生産は初の1兆円台と発表
さて、昨年はナショナリズム、あるいは反グローバルリズム的動きが収まらず、北朝鮮問題も含めて国際社会の不安定さが目立つなか、引き続き多くの不確定要因を抱えたなかでの幕開けとなりました。
一方、世界経済についてみますと、おしなべて世界経済には底堅さがみられ、我が国経済についても、政府の経済政策効果により緩やかながら景気は拡大しています。
その中にあって、特に私どもロボット業界にとりましては、こうした景気回復下での少子高齢化による人手不足感の拡大と併せ、2015年に取り纏められた「ロボット新戦略」での政策目標と、それに伴う各種施策に支えられ、ユーザー側での需要意欲の高まりが見られました。
このような状況の下、我が国のロボット生産は、国内需要での堅調な伸びとともに、需要の約7割を占める輸出環境が中国を中心として大幅な伸びとなったことから、2017年は対前年比28%増の約9,000億円を見込んでいます。
また、昨年末に開催いたしました「国際ロボット展」は、過去最大規模での開催とともに、来場者数も13万人を超えるなど盛会裡に終えることが出来ました。出展社ならびにご支援頂きました関係各位に対し、あらためて厚く御礼申し上げます。
そして2018年の今年は、政府において、「生産性革命」実現に向けて、3%以上の賃上げと安定した設備投資、人材投資の強化を行う企業やIoT投資に積極的に取り組む企業への法人税減税が計画されており、こうした政策による国内投資の加速化での需要増に繋がることを期待しております。
さらに、海外においても引き続き中国での高い自動化投資意欲をはじめ、アジア及び欧米での更なる景気拡大による需要の拡大が期待されています。
このようなことから本年のロボット生産額につきましては、対前年比11.1%増の業界初となる1兆円に、また受注額においては1兆1,000億円に達するのではないかと期待しております。
日本ロボット工業会の今年の抱負は、中長期的な視点に立った業界の活性化を図る必要がありますが、以下の3点を重点項目として取り組む所存です。
第一は「市場拡大に向けた取り組み」です。
ロボット新戦略での「世界一のロボット利活用社会の実現」を目指し、当会ではロボット革命イニシアティブ協議会との連携のもと、ロボット市場の拡大に向けてその役割を引き続き積極的に務めて参ります。
また、ロボットの利活用推進にとってシステムインテグレータ(Sler:エスアイアー)の役割は極めて重要ですが、Slerがより一層能力を高めて健全に発展していくうえでも、全国のSlerの組織化に向けた取り組みを現在進めており、年内の立ち上げを目指して参ります。
第二は「イノベーションの加速化に向けた産学連携の推進」です。
グローバル市場での競争力を強化にあたり、イノベーションの加速化に向け、引き続き日本ロボット学会をはじめ関係学会及び関係業界との連携に努めることとします。
第三は「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」です。
特に国際標準については、本年6月、ISO・TC299の第2回総会及び関係するワーキンググループの会議が、京都市で開催されることとなっており、この会議準備も含めて国際標準化活動に対して、ロボットのリーディングカントリーとして引き続き積極的に取り組むこととしております。
以上に加え、本年は6月6日か~8日に恒例の「実装プロセステクノロジー展」を開催致します。そして10月17日~19日には、隔年開催の「ジャパンロボットウィーク2018」を開催することとしており、両展を通じ様々な分野への利用拡大への意欲を喚起する所存です。
中略:
最後となりましたが、本年も引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご多幸とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。有難うございました。
画像は1月12日の賀詞交歓会で挨拶する稲葉会長(ファナック株式会社 代表取締役会長CEO)
以上