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年頭所感 三菱重工業 宮永俊一社長

●年頭所感2018、三菱重工業株式会社 取締役社長 宮永俊一

・2018年1月5日 宮永社長 年頭挨拶(要旨)

【今年は構造改革の総仕上げ】

 私にとってこの年末年始は、当社グループが昨年どのように成長したのか、今年はどのようになるだろうかなど、いろいろと考えを巡らせる時間にもなりました。2017年度は15事計(2015事業計画)の最終年度であり、残すところあと3ヵ月です。今年度は、12事計(2012事業計画)から「規模の拡大」と「収益性の向上」を大きなテーマとして掲げ取り組んできた一連の構造改革の総仕上げの年と位置付けており、これまで「事業所/事業本部制からドメイン制への移行」「さらなるドメイン再編/SBU(戦略的事業単位)制の浸透」「キャッシュフローを重視した財務戦略」「監査等委員会制への移行を含むガバナンス改革」など多くの施策、改革を実行してきました。しかしながら、掲げていた経営数値目標が未達になる見通しである現状については真摯に受け止めたいと思います。たいへん残念な現状を認識した上で、皆でよりよい未来のために前進していきましょう。

【経営資源を高度に活用し、地域特性に合わせた貢献を】

 当社は、1884年の創立以来、日本の近代化とともに歩み、社会の変化や多様なニーズに応えながら130年以上の歴史を積み重ねてきました。これは社是にもある通り「顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する」という、当社グループが培ってきた取り組みの結果であると言えます。そして、今や、我々は日本のみならず、アジア、アメリカ、そして世界へと活動領域を拡大しています。そのような事業拡大とともに私たちは、より大きく、難しい世界的課題の解決に向け、挑戦を続けています。人類共通の課題である「持続可能な地球の実現」や「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の解決・克服に対しても、持てる経営資源を高度なマネジメントで活用し、グループ一丸となって取り組んでいきます。

 世界各地でビジネスを展開することは、グローバル規模の製品やサービスの供給を通した社会への貢献を最大化することに他なりませんが、各地域での貢献については地域ごとの特性に合った方法でニーズに応えていくことが必要です。これら一連の活動こそが、世界を前へと動かしていきます。それは、インダストリアル・エクスプローラー(産業進化の探索者)として、自ら新しい市場を創造し成長していくことだと言えます。また、地域を足掛かりに世界規模へと貢献していくことは、地球社会に生きる企業集団としての使命であり、当社グループが掲げるビジョンでもあります。

【“新しいあり方”を探して未知の領域にも踏み込み、日々成長し続ける】

 現在、当社グループは、グローバル複合企業としての“新しいあり方”を探していく上での岐路に立っていると言えます。その新しいあり方とは、ITやデジタルコミュニケーションなどの最先端技術や内外のあらゆる知見を、我々の最大の強みであるエンジニアリング力や製品の心臓部を握るコア技術に柔軟に取り込むことであり、その結果として社会発展に欠かせない基盤技術を先進のテクノロジーを駆使し、さらに進化した形で提供する存在となることです。2018年はこのような考えを抱きながら、持続的成長のステージに向けた一歩を踏み出す年になります。

 私たちは、日々の活動において、地図のない未知の領域に踏み込まざるを得ないことがあります。すなわち、絶え間なく変化する世界の課題を解決するためには、従来のものづくりの概念を作り変えることが必要になることもあるということです。そのような変化の積み重ねの結果、未来の三菱重工が、今日とは大きく姿を変えていたとしても不思議ではないのです。

 こうした進化は、生産現場のみならず、サプライチェーンのあらゆる領域に及ぶことでしょう。次なる新しい挑戦に立ち向かうとき、皆さんには「昨日よりも今日、今日より明日へと、日々成長し続ける」という気持ちで自らの日々の業務に取り組んでいただきたいと思います。

【持続的成長に向けた18事計が始動】

 15事計ではいくつかの困難な局面にも直面しましたが、グループ員の皆さんの献身的な努力によって、多くの困難を乗り越えることができました。しかし、依然として残る課題については引き続き対処していく必要があります。2018年度には現在策定中の18事計(2018事業計画)が始まり、持続的成長に向けた飛躍のステージに上がるための新たな一歩を踏み出します。それを実行するには皆さん一人一人の力とチームワークが必要です。

 MOVE THE WORLD FORWARD―世界を前に進める。共に力を合わせ、素晴らしい未来を創造していきましょう。

以上

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