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三菱重工、仏Framatome社(旧称New NP社)への出資を完了

■フランス電力(EDF)、アレバグループと原子力発電技術供給へ戦略的協業

 三菱重工業は、フランスの原子力総合メーカー、アレバ(AREVA)グループの再編に伴い、同国の大手電力事業者、フランス電力会社(EDF社)の傘下企業として設立された原子力機器・システムの設計製造事業会社であるFramatome社(New NP社から改称)への出資を完了したと発表した。三菱重工のFramatome社への出資比率は19.5%で、これにより、世界最大の原子力発電プラント運用者であるEDF社と、Framatome社、および三菱重工との戦略的協業を通じて、三菱重工とアレバグループの合弁事業により開発した第3世代プラス原子炉「ATMEA1」の拡販をはじめ、最新の安全性と信頼性を両立した原子力発電技術のグローバルな供給体制の確立を目指す。

 Framatome社は、アレバグループで原子力プラント用機器の設計、製造、燃料供給、およびプラント建設を手掛けてきたアレバNP社を源流として、同グループの再編に伴い、原子力分野で豊富な経験を有するEDF社の傘下となり、安定的な収益が見込める既設プラント向けアフターサービス、燃料供給、新設プラント向け原子炉関連機器の設計、製造、販売に特化したかたちで、New NP社から改称してこのほど発足したもの。また、三菱重工とアレバNP社の合弁会社ATMEA社は、今回の出資完了に伴い、三菱重工とEDF社が折半出資し、Framatome社が特別株を保有する体制で新たに出発する。

 今回の出資完了に際し、三菱重工の宮永俊一社長は次のように述べている。

「当社は原子力発電技術の開発における日仏協力に長年注力してきましたが、今回出資が完了し、新たな体制が発足したことで、日仏原子力産業界の連携がより一層強化され、原子力発電の安全性と信頼性確保のためのさらなる技術向上がはかられるものと確信しています。」

 これを弾みとして、三菱重工とEDF社、ならびにFramatome社は、ATMEA社が開発したATMEA1を世界各国で拡販していくほか、原子力発電所への機器供給・アフターサービスや廃炉事業などにおいても、日仏両国間の原子力産業分野での連携を深めていく計画。

 三菱重工とアレバグループは、1990年代からの燃料サイクル分野での協業に始まり、2006年の原子力発電分野でのより広範な協調の合意を経て、両社技術の融合により、世界最高水準の安全性と、信頼性・耐震性を持つ電気出力120万kW級の加圧水型軽水炉(PWR)ATMEA1を開発、新設計画が具体化しつつある新興国を中心に世界各地での拡販を進めてきた。

 EDF社は英仏両国において、計73基の原子力発電プラントを運用する世界最大の原子力発電事業者で、三菱重工は同社プラント向けに取替用蒸気発生器15基の受注実績を有している。また、EDF社と三菱重工は、2016年6月、EDF社によるATMEA事業での販売・技術面などの支援や、両社の技術力と、高い専門性を活かしたグローバル市場での幅広い協力を含む原子力発電分野での協調に向けた覚書(MOU)を締結するなど、良好かつ強力な協力関係の構築に取り組んでいる。

 三菱重工は引き続き、EDF社、Framatome社、アレバグループなどとさらなる緊密な連携を通じて、広範な原子力発電関連技術の市場開拓を各地で推進し、温室効果ガスを排出しないグローバルなエネルギーの安定的確保・供給体制の整備に貢献していく。

 また、三菱重工はアレバグループと、燃料サイクル分野を中心に事業を手掛けるNew AREVA Holding(従来NewCo社と呼称)への5%の出資も予定しており、2018年1月末の出資完了に向け、引き続き各種の手続きを進めていく。

 ニュースリリース

 

 

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