■工場野菜生産事業に参入
三菱ガス化学は12月27日、福島県白河市「QOL(*1)イノベーションセンター白河」内に、日産2.6トン(*2)の葉菜類生産設備を有する国内最大規模の完全人工光型植物工場を建設、工場野菜生産事業へ参入すると発表した。
植物工場は、従来の畑地栽培やハウス栽培とは異なり、施設内で植物の生長に必要な光、温湿度、二酸化炭素濃度、水分、栄養分等の環境条件を制御しながら、植物を栽培する施設。植物工場は、[1]土地面積当たり生産量が従来比100倍以上、[2]天候や土壌等の自然環境の影響を受けない、[3]栄養分等の投入資源の利用効率が高い、[4]水の使用量が従来比約半分、[5]無機肥料の使用量が少なく、環境汚染物質等の排水が少ない、等の特長がある。植物工場には太陽光を使用するものもあるが、完全人工光型植物工場は、光源にLEDのみを使用するため、天候に左右されることなく、常に最適な生育環境をつくり出すことが可能。
植物工場では、生産プロセスにおける高度な環境制御が、生産性に多大な影響を与えるが、これは化学産業にも通ずる特徴。三菱ガス化学は、植物工場として国内最大規模の設備を建設するとともに、化学品の製造プロセスで培った環境制御のノウハウを活用して効率的に運営することで、収益性を確保した、事業性のある植物工場を目指す。完全人工光型植物工場の事業化により、省資源で持続可能な農業を可能とし、植物工場産業の新たな事業展開につながることが期待される。
また、三菱ガス化学は、食品の洗浄に使用される過酸化水素や過酢酸製剤、食品を酸素劣化から守る脱酸素剤および各種機能性樹脂フィルム等、食品の安全・安心に関わるさまざまな製品・技術を有している。これらを工場野菜生産事業へ応用し、食品の品質を長期間、高く保持することで、競争力を向上させるとともに、フードロス削減等の貢献も期待される。
なお、同事業は、大規模完全人工光型植物工場の運営および生産品の販売に実績のある㈱ファームシップと協業体制を敷き、推進していく計画。
*1 Quality of Life(クオリティ オブ ライフ)の略
*2 1株80グラムのリーフレタス換算で日産32,000株
<建設する完全人工光型植物工場>
建設地:福島県白河市豊地箭内小屋1-8「QOLイノベーションセンター白河」内
延床面積:8,000㎡程度
竣工:2019年春(予定)
総投資額:20数億円(予定)
生産品目:葉菜類日産2.6トン(1株80グラムのリーフレタス換算で32,000株)
<ファームシップ社の概要>
社名:株式会社ファームシップ
代表者:北島 正裕、安田 瑞希
設立:2014年3月10日
資本金:9,050万円(資本準備金含む)
所在地:東京都中央区京橋2-2-1京橋エドグランサウス4階SENQ京橋RoomF
WEB:http://farmship.co.jp