国際協力機構(JICA)は12月14日、13日にデリーでインド政府との間で、「アンドラ・プラデシュ州灌漑・生計改善事業(フェーズ2)(第一期)」を対象として212億9,700万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。
事業は、アンドラ・プラデシュ州(AP州)において、老朽化した約16万haを対象とする灌漑施設を改修し、生産農家組織に対する包括的な営農体制構築を支援することにより、灌漑面積の拡大、農業生産性の向上及び農家のマーケティング能力強化を図り、もって事業対象地域の農家の生計改善及び農業バリューチェーンの構築に寄与するもの。貸付資金は、灌漑施設の改修及びコンサルティングサービス(入札補助、施工監理、営農に関する技術指導等)等に充当される。
AP州(人口4,957万人)はインド南部のデカン高原に位置する農業が盛んな州であり、人口の6割以上が農業に従事し、トマトやオクラ、パパイヤ、とうもろこし等の生産高はインド国内でも1位を誇っている。また、AP州の食品加工施設数は5,700以上と全国で最も多く、さらに5か所の海港、4か所の空港がある等、農作物の生産から加工、流通までのバリューチェーンの構築に有利な条件が揃っている。
このように、農業は同州の経済発展を支える潜在的な主要産業の位置づけにあるが、灌漑施設が未整備で、農業用水の不足により収穫量が安定しないことや、栽培管理や収穫後処理が十分でなく農作物が傷みやすいといった農作物の品質にも課題があり、バリューチェーンの根幹となる農作物の収穫量および質ともに安定していない。そのため、農産品の収穫量安定化や高付加価値化のためには、生産から、加工、流通までの一連の環境整備が必要となっている。
同事業により、灌漑面積の拡大、農業生産性の向上及び農家のマーケティング能力強化が見込まれており、農家の生計改善及び農業バリューチェーン構築に貢献することが期待される。