NECと日本電産は12月6日、無線ネットワーク経由で小型コンピュータを内蔵したモータである、インテリジェントモータ(日本電産が開発した小型コンピュータを内蔵したモータ)を遠隔からリアルタイムかつ高精度に協調制御する技術を共同開発したと発表した。両社は、同技術の応用事例として、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの遠隔制御など、様々な領域の社会システムに応用するために実証・製品化を進める。
IoT化が加速する中、市場拡大が見込まれるロボット業界では、ロボット単体での作業から、複数ロボットでの協調作業へと進化が求められている。そこで両社は、NECの無線通信技術と日本電産のモータ間同期技術を融合させることで、インテリジェントモータ®搭載ロボットをリアルタイムかつ高精度に協調制御することに成功した。
NECの無線通信技術は、無線ネットワークにおける通信遅延を考慮してインテリジェントモータ®の状態を正確に予測するとともに、予測に基づいた先回り制御により、インテリジェントモータ®のリアルタイムな遠隔制御を実現した。
また、日本電産のモータ間同期技術は、複数のインテリジェントモータ®同士で密に会話することにより、複数インテリジェントモータ®間、またインテリジェントモータ®を搭載した複数ロボット間での高精度な同期を実現する。
今回、工場や倉庫での自動搬送車を想定した実験を、周辺機器からの通信やノイズの影響で無線が不安定である環境下で行い、搬送効率(注2)を従来比で30%改善できることを検証した。
昨今、IoT(Internet of Things)の普及に伴い、様々なロボットが無線ネットワーク経由で、遠隔から制御されるようになってきている。また、市場拡大が見込まれるロボット業界では、ロボット単体での作業から、複数ロボットでの協調作業への進化が求められてきている。しかし、高精度なリアルタイム制御を必要とするロボットを、無線ネットワーク経由で遠隔から協調制御しようとすると、通信遅延によってロボットからのデータや制御コマンドが時間どおりに到着しないため、正確な協調制御が実現できなかった。
今回、NECと日本電産は、オープンイノベーションとして、ロボットを駆動するインテリジェントモータ®に対して、NECの無線通信技術と日本電産のモータ間同期技術を融合させることで、リアルタイムかつ高精度なロボットの協調制御を実現した。