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栗田工業、バラスト水処理市場向け新型TRO計「S.sensing WS」を開発

■超小型高性能センサーを搭載した省スペース型の水質計測機器、バラスト水処理の最適制御を実現

 栗田工業は12月1日、バラスト水処理市場向けに新型TRO計「S.sensing(R)WS」を開発し、今年9月には国土交通省より本製品を組み込んだ栗田工業のバラスト水処理システム「KURITA BWMS」の型式の変更承認を取得したと発表した。S.sensing(R)WSは、バラスト水処理の最適制御とともに省スペース化を実現し、他社製のバラスト水処理装置への搭載も可能。栗田工業では今後、KURITA BWMSの適用拡大を図るとともに、商船三井グループとの協業により「S.sensing(R)WS」単体の販売も開始する。

 バラスト水処理において、「TRO(Total Residual Oxidants総残留オキシダント)計」はバラスト水中の有害生物を殺滅する際に使用する各種活性物質(*1)濃度を測定する計測機器。TROは船舶のバラストタンク及び配管に注入する薬剤(塩素系化合物など)の濃度指標で、その濃度を正確に計測することが薬剤効果や処理コストに大きく影響するため、栗田工業では水処理で培ってきた分析技術をもとに新型TRO計の開発に取り組んできた。

 商品化した「S.sensing(R)WS」は新開発の超小型高性能センサーを搭載し、DPD(*2)試薬により着色させた被測定液に光を照射して本センサーにより受光することで、TRO濃度を短時間で、高精度に測定することができる。また、船舶では、限られたスペースに各種機器を高密度に搭載するため、機器の小型化が求められている。栗田工業では、計測レンジの異なる2種類のセンサー(高濃度域、低濃度域)を1台の測定器内に格納し、同時に計測する新たな製品仕様を確立して省スペース化を実現した。運転管理の面では、船舶を運航する上で管理しやすい試薬量を設定することでランニングコストを低減し、長時間の装置停止に備えて試薬ラインの自動洗浄機能も装備している。

 さらにS.sensing(R)WSはインターネットを介して設備の状況を遠隔監視し、TRO濃度の測定値やアラーム履歴などバラスト水処理システムの運転管理に必要な帳票データをいつでも、どこでも確認することが可能。

 (S.sensing(R)については(*3)を参照)

 栗田工業では、S.sensing(R)WSを搭載したKURITA BWMSの受注拡大に向けた提案活動を推し進めていくとともに、商船三井テクノトレード(本社:東京都中央区)と提携してS.sensing(R)WS単体の拡販を推進し、他社製のバラスト水処理システムへの適用拡大も図っていく。

 船舶市場において、栗田工業は創業事業として1949年にボイラ薬品の販売を開始して以降、水処理薬品や装置の納入実績を重ねてきた。今後はKURITA BWMSおよびS.sensing(R)WSを核に商品ラインナップの拡充とIoTによるサービスを強化し、船舶市場全体でのトータルソリューション実現に向けた取り組みを推進していく。

 *1 活性物質:塩素系化合物、オゾン等、殺菌力を有する物質の総称。

 *2 DPD:TRO濃度の測定方法の一つで、TROを含む水に試薬を加え発色の度合いを検知することで、残留塩素やその他の総残留オキシダント濃度を測定する。

 *3 S.sensing(R):栗田工業水処理薬品事業におけるセンシング技術を活用した水処理管理サービスの総称。センシング機器をお客様の設備に取り付け「計測」「解析」「制御」「監視」技術を組み合わせたシステムでリアルタイムに最適な処理を行う。

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