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国際協力銀行(JBIC)、エジプト陸上風力発電事業にプロジェクトファイナンス

■豊田通商、ユーラスエナジーによる再生可能エネルギー発電事業への参画を支援

 国際協力銀行(JBIC)は12月1日、豊田通商及び㈱ユーラスエナジーホールディングスが出資するエジプト・アラブ共和国(エジプト)法人Ras Ghareb Wind Energy SAE(以下「Ras Ghareb」)との間で、エジプトのスエズ湾沿岸で実施される陸上風力発電事業を対象として、融資金額約192百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結したと発表した。融資は、三井住友銀行及びソシエテジェネラル銀行との協調融資によるものであり、民間金融機関の融資部分に対しては、日本貿易保険(NEXI)による保険が付保される。協調融資総額は約320百万米ドル。今回の案件はJBICにおいて、アラブの春以降初のエジプト向けプロジェクトファイナンス案件で、アフリカにおける風力発電向けプロジェクトファイナンス案件という面でも初となる案件。

 事業は、Ras Gharebがエジプトの首都カイロ南東260kmに位置するスエズ湾沿いの紅海県Ras Ghareb地区において、発電能力約262.5MWの陸上風力発電所を建設・所有・運営し、完工後20年にわたり、エジプト送電公社(Egyptian Electricity Transmission Company)に売電するもの。

 豊田通商は、同社グループの国内最大かつ世界有数の風力発電事業者であるユーラスエナジーとともに、風力発電事業を中心とした再生可能エネルギーの普及、拡大に注力しており、特に成長が期待されるアフリカでのビジネスに積極的に取り組む方針を打ち出している。我が国企業にとって経験の少ないアフリカにおける再生可能エネルギー事業を、JBICが長期融資を用いて支援することは、日本企業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。

 日本政府は、2017年5月に改訂した「インフラシステム輸出戦略」において、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での「事業投資」の拡大の推進を表明している。加えて、2015年11月に気候変動対策に取り組む開発途上国を支援することを目的に「美しい星への行動2.0(Actions for Cool Earth:ACE2.0)」を発表しているところ、同案件はこうした政府の施策にも合致する。

 第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において、アフリカの経済多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進が重要なテーマとして取り上げられ、日本政府は官民協力の上、アフリカ地域への質の高い支援を実施する方針。JBICは2013年6月に創設した「JBICアフリカ貿易投資促進ファシリティ」(通称「FAITH」)を発展・強化する形で、FAITH2を創設しており*2、同案件はFAITH2のもとでの初の再生可能エネルギーインフラへの支援案件となる。

 エジプトでは、人口増加と経済発展により電力需要が増加傾向にあり、また、火力発電への依存から脱却すべく、再生可能エネルギーを含めた電源の多様化を重要な政策として掲げていることから、同案件は同国において重要な役割を果たすことが期待される。

 ニュースリリース

 

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