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デンソーウェーブなど、ロボットアームをリアルタイム制御する双腕型マルチモーダルAIロボットを開発

■「2017国際ロボット展」・「システムコントロールフェア2017」で展示

 ㈱デンソーウェーブ(愛知県知多郡)、ベッコフオートメーション(神奈川県横浜市)、エクサウィザーズ(東京都文京区)は11月24日、多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームをディープラーニングでリアルタイム制御し、不定形物を扱う複数の作業を同一のロボットアームで実現する「マルチモーダルAIロボット」を3社共同で開発し、近未来のロボットシステムを具現化したと発表した。

 従来のロボットシステムでは、多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームで、不定形物を扱う複数の作業をロボットに実行させるためには、莫大な量のプログラムを組む必要があったが、今回開発したマルチモーダルAIロボットには、ユーザーによるプログラミングは存在せず、ディープラーニングとVR(バーチャルリアリティ)技術を用いることで、人が人に作業を教えるのと同じようにロボットに作業を学習させることが可能になる。

 VR技術とロボット操作を連携させ、全天球カメラを利用した視覚と触覚に訴えるVRティーチングシステムによって、双腕型ロボットアームの軌道を直感的に教えられるようになり、記録された軌道とロボットアームやハンドから得られるセンサー情報をロボットに学習させることで、複雑なプログラムを組むことなく、人の作業を覚えさせることができる。また本案件は、ベンチャー企業であるイクシーから多指ハンドの提供を受け、AIロボットの研究で知られる早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授からのアドバイスを受けており、産学連携のオープンイノベーション事例。3社の代表は下記のように述べている。

 デンソーウェーブ中川社長:「『産業用ロボットを簡単に使えるようにしたい』と常日頃考えています。VRシステムを活用することで直感的にロボットを動かし、教示することができ、さらに教示した動作を深層学習した結果として推論させることができれば、ワークの位置や形状、想定外の状況の変化などにもロバストに対応することができるため、産業用ロボットの用途が大きく広がります。工場内での作業に留まらず、医薬・医療、農業や物流など、様々な分野でロボットの活用が進むよう取り組んで行きたいと思います。」

 ベッコフオートメーション川野社長:「ロボット、AI、VRをシステムとして融合させる試みは多くの場合専用のハードウェア開発を伴うためコストと時間がかかるのが課題でした。今回オープンシステムを推進する3社が結集し、ORiN、TwinCAT、EtherCAT、ディープラーニングなど、それぞれの汎用的な要素技術を組み合わせ、ハードウェアの開発を一切せずに短期間かつ現実的なコストで『マルチモーダルAIロボット』を構築できたのは、最先端技術の民主化の象徴として特筆すべきと考えます。また、本システムでは神経系処理をCPUでリアルタイム処理し、認知系処理をGPUで並列処理するシステムを同一のIPCに実装しました。このコンセプトを『インテリジェントコントローラ』としてロボットに限らず様々な生産財の知能化に応用していく所存です」

 エクサウィザーズ石山社長:「当社は超高齢化社会などの社会課題を解決すべくAIの利活用を進めるためのソリューションを提供しています。これまで教育・介護の支援システムや産業・医療用アプリケーションなどの実績を重ねてきましたが、当社のAIに文字通りの身体を与える『マルチモーダルAIロボット』は様々な現場での課題解決に直接携わることができる象徴的なソリューションです。今後、労働人口が減少していく中で、人とAIが協働する社会の実現を目指す際にロボットを避けて通ることはできません。人の作業をロボットが再現できるようにするだけに留まらず、扱いやすくインテリジェントなロボットとのやりとりを通じて人のロボットリテラシーが高まるようなAIを提供することで第四次産業革命に貢献して参ります」

 ニュースリリース

 

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