三菱電機は11月21日、同社のAI技術「Maisart(マイサート)(※1)」を産業用ロボットのアームを人の腕のように柔らかく動作させる力覚制御(※2)に適用し、動作時間の大幅短縮を実現する「AIを活用したロボットの力覚制御の高速化技術」を開発したと発表した。はめあい作業やコネクタ・基板の挿入作業などの高速化を図ることにより、電機・電子製品の組み立て工程の生産性向上に貢献する一方、今後も、「Maisart」のFA分野への適用開発を進めていく。
※1 Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。アルゴリズムのコンパクト化および、機器の知見を活用した学習高効率化・高速データ分析が特長
※2 力覚センサの検知データをもとにロボットの保持するワークやツールが対象物に接触したことを検知して、ロボットの軌道を修正する制御
<開発の特長>
1.AIによる力覚制御で、過大な力を抑制しながら組み立て作業を高速化
・組み立て作業時の速度をきめ細かく設定する指令パラメータ調整などに三菱電機AI技術「Maisart」を活用し、多数の調整パラメータをロボットの動作結果に応じて短時間で自動的に調整
・人の腕のように柔軟に動作する力覚制御の動作に適用し、ロボットが対象物に加える力を抑制しながら高速な組み立て作業を実現
・部品のはめあい作業では、短時間の学習で制御。パラメータを高精度に決定、人手調整時に5.5秒だった動作時間を1.9秒と約3分の1に短縮し高速化を実現
2.AIによりロボットを停止することなく、高精度なセンサ補正を実現
・従来、力覚制御を高精度に実施するためには、動作前にロボットを一旦停止して、力覚センサに発生するロボットの姿勢によって変化する重力など外部の影響を補正する必要があったが、三菱電機AI技術「Maisart」を活用し、ロボットを停止することなく、自動で高精度に力覚センサ出力を補正