DMG森精機が11月7日発表した2017年12月期第3四半期累計期間(1~9月)における連結業績によると、売上収益は3,032億5,400万円、営業利益は148億8,300万円、税引前四半期利益は117億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は68億4,800万円となった。
工作機械の需要は、グローバル市場で好調に推移している。DMG森精機の工作機械の第3四半期累計(1~9月)の受注金額は、前年同期比23%増となった。四半期別には、第1四半期(1~3月)の9%増、第2四半期(4~6月)の24%増に対し、第3四半期(7~9月)は37%増と伸長率が加速した。
9月に開催されたEMOでのソリューション展示が好評を得て受注拡大に貢献した。需要先別には、半導体製造装置関連向け需要が高水準で推移したほか、航空機、医療機器、ロボットなどの自動化機械、一般機械、自動車、SMEs(Small and Medium-Sized Enterprises)向けなど、広範囲にわたり需要が好調に推移した。また、年初から回復基調に転じた建設機械向けの需要は、その足取りを確かなものとしつつある。
一方、動意が見られていたエネルギー関連向けの需要の回復には時間を要している。地域別の第3四半期までの累計受注は、国内が前年同期比28%増、米州が同19%増、欧州が同27%増となり、中国含むアジア市場も順調に拡大した。
グローバル市場において、顧客の設備投資における高機能化、自動化、工程集約化、IoT化への意欲は高く、現状の旺盛な工作機械需要は暫く継続するものと考えている。今2017年12月期通期の受注金額目標については、第3四半期までの好調を受けて、従来計画の4,100億円を上回り、前年比17%増の4,300億円以上を目指す。
■2017年の連結業績予想
2017年12月期については、好調な受注環境およびユーロ高円安に伴う為替の影響により、業績予想を上方修正。売上高4,150億円(前回予想4,030億円)、営業利益280億円(同260億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益150億円(同140億円)とした。
■1~9月の主な取り組み
DMG森精機では、事業戦略として、IoTやコネクテッドインダストリーズ/インダストリー4.0への対応、自動化システムの提案を推進している。ドイツでカールツァイス社やデュル社などと提携して、ジョイントベンチャーADAMOS(ADAptive Manufacturing Open Solutions)社を設立した。
同社は、オープンな産業用IoTプラットフォームサービスを提供する企業として、どのベンダーからも中立の立場で最新のIT技術と業界知識の融合を推進する。ワーク搬送やパレット搬送を行う自動化システムによって、顧客は生産性の向上だけでなく、品質の安定、省人化、労働環境の改善などを実現できる。自動化システムの導入に際しては、高品質のシステムを短納期で納入すべく、全てを一括してサポートする「DMG MORIワンストップサービス」を実施している。今後もDMG森精機では、機械本体だけではなく周辺機器やソフトウエアも拡充させ、顧客の生産活動に関する面倒を一手に引き受けていく。
技術面では、切削能力を従来の2倍に向上させた立形マシニングセンタNVX 5000 2nd Generation、自社開発の高性能主軸を搭載した高精度5軸制御マシニングセンタDMU 50 3rd Generation及び横形マシニングセンタNHX5500/6300 2nd Generationを新たに販売開始した。いずれも機械性能の向上だけでなく自動化に対応した仕様となっている。新たに販売される機械には、モニタリングやアイドリングストップなどの省エネ機能GREENmodeを標準搭載し、消費電力を大幅に削減することが可能となった。引き続き、より高機能で投資価値のある製品を開発し、顧客のニーズに応えていく、
販売面については、9月に独ハノーバーにて開催されたEMO Hannover 2017に出展し、世界初披露の8機種を含む全75台を展示した。展示機の半数以上は、周辺機器と組み合わせた自動化ソリューションとして展示した。アディティブマニュファクチャリングエリアでは、パウダーベッド方式とパウダーノズル方式の両技術を披露した。この新しい加工法を紹介するエリアでは、実際に加工された多くのワークを展示し、顧客に触れてもらうことで、DMG森精機の機械で実現できる加工の幅広さをアピールした。また、10月には名古屋にて開催されたメカトロテックジャパン(MECT)2017に出展し、スマートファクトリー、CELOS&センシング、自動化など、最新・最先端の技術情報を顧客に紹介した。さらに豊富な加工事例やデモ加工を交えた実践的な技術ノウハウなど、顧客の生産性向上に貢献できるソリューションを多数提案した。
7月にはDMG森精機東京グローバルヘッドクォータ内に先端技術研究センターを開所した。この研究センターでは、機械学習のプログラミング、IoT、ネットワーク、クラウドなどの知識を研究員に習得させ、次世代の新たな価値の創造を担う高度人材を育成していく。
DMG森精機では、在宅勤務の拡充、コアタイム制の導入、残業ゼロに向けた意識改革などの働き方改革を行ってきた。これらの取り組みを引き続き推進していくとともに、2018年4月からは国内全事業所に社内託児所を常設する。よく遊び、よく学び、よく働く、をモットーに、今後も全社を挙げて社員のワークライフバランスの充実を図り、生産性を向上させていく。