クボタが11月7日に発表した2017年12月期第3 四半期累計(1~9月)の連結業績によると、売上高は前年同期比853 億円(7.2%)増の1兆2,667 億円となった。国内売上高は水・環境部門やその他部門が減収となったが、農業関連商品などが好調な機械部門の増収により、前年同期比56 億円(1.3%)増の4,187 億円。海外売上高はダクタイル鉄管や素形材の減少により水・環境部門が減収となったが、機械部門が建設機械やエンジンの好調に加え、前期に実施した事業買収の効果もあり、北米・欧州・アジアの各地域で増加したため、全体では同797 億円(10.4%)増の8,480億円となった。
営業利益は、増収による増益効果はあったが、前期の円高の影響が製品の輸送や在庫期間を経て期中に実現したことや、固定費の増加、原材料価格の上昇などにより、同35 億円(2.3%)減の1,445 億円、株主に帰属する四半期純利益は前年同期を123 億円(13.2%)上回る1,053 億円となった。
<機械部門>
農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器により構成。売上高は前年同期比10.0%増の1 兆416 億円となり、売上高全体の82.2%を占めた。
国内売上高は同3.8%増の2,245 億円。電装機器やエンジンが減少したものの、トラクタがエンジン排ガス規制強化後の販売低迷から回復に転じ、農業関連商品も大幅に増加した。
海外売上高は同11.9%増の8,171 億円。北米では、為替改善や前期に実施した事業買収の効果に加え、需要拡大により小型トラクタ、建設機械、エンジンが伸長した。欧州では、底堅い工事需要を背景に建設機械、エンジンが堅調に推移したほか、農業市場向けインプルメントも増加した。アジアでは、タイが雨季に発生した集中豪雨の影響を受けたものの、乾季作における取水制限の解除や為替改善効果により増加した。中国では、コンバインが低調だったが、田植機、建設機械、エンジンの伸長により大幅増となった。
セグメント利益は国内外での増収による増益効果はあったが、前期の円高の影響が当期中に実現したことや固定費の増加などにより、同2.5%減少して1,418 億円となった。
<水・環境部門>
パイプ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、環境関連製品(各種環境プラント等)、社会インフラ関連製品(素形材、スパイラル鋼管等)により構成。売上高は前年同期比4.4%減少して2,035 億円となり、売上高全体の16.1%を占めた。
国内売上高は同1.4%減の1,729 億円。パイプ関連製品は着工の遅れによる工事事業の減などにより減収となったほか、設備の運転・保守事業の減などにより環境関連製品も減少した。一方、社会インフラ関連製品は素形材の減を受注が好調なスパイラル鋼管の大幅増で補い、増収となった。
海外売上高は同18.4%減の306 億円。中東向けのダクタイル鉄管や昨年大口案件のあった東南アジア向けの素形材などが減少した。
セグメント利益は国内外での減収や原材料価格の上昇などの減益要因を選別受注による採算改善や固定費削減などで補い、同23.8%増加して209 億円となった。
<その他部門>
各種サービス事業、住宅機材により構成。売上高は同0.6%減の216 億円となり、売上高全体の1.7%を占めた。セグメント利益は同22.5%減少して21 億円となった。
<2017年12月期見通し>
2017年12月期の売上高は前回予想時(2 月14 日)から200 億円増の1 兆7,000 億円を見込んでいる。国内ではトラクタや農業関連商品などが好調なほか、為替相場が想定よりも円安で推移していることから海外売上も増加する見込みのため、上方修正した。
営業利益の予想については、為替が増益要因となるものの、為替換算を除いた実質ベースの売上が前回予想を下回ることなどを踏まえ、前回予想と同額の1,980 億円とした。また、税金等調整前当期純利益は前回予想比50億円増の2,100億円、株主に帰属する当期純利益は前回予想比20 億円増の1,400 億円とした。
業績見通しにおける想定為替レートは、1米ドル=111 円、1ユーロ=125 円としている。